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原因と減圧速度の段階制御

撹拌脱泡機の突沸はなぜ起きる?
原因と減圧速度の段階制御

撹拌脱泡機の取扱説明書やメーカーの営業担当者から「突沸に注意してください」「減圧速度を段階的に調整できます」と言われても、具体的に何をどう確認すればよいのか分かりにくいと感じたことはないでしょうか。真空引きの操作を誤ると、材料が容器から一気に噴きこぼれて装置内部を汚してしまう「突沸(とっぷつ)」が起こることがあります。本記事では、突沸がなぜ起こるのかという仕組みから、自社の材料が突沸しやすいかどうかの判断ポイント、減圧速度を段階的に制御する運用の考え方までを整理します。

突沸とは?撹拌脱泡機の運用で起こる「材料の急な沸騰」

突沸とは、液体が沸点を超えても静かに沸騰せず、ある瞬間に大きな気泡を生じて激しく沸き立つ現象です。撹拌脱泡機では、容器内を減圧していく過程で材料に含まれる水分や溶剤が本来の沸点より低い温度で沸騰し始めますが、このとき緩やかに気化するのではなく、突然勢いよく沸き立ってしまうケースがあります。

突沸が起こると、材料が容器の外まで噴きこぼれて装置内部を汚染したり、材料そのものをロスしたりする原因になります。真空度の基本的な考え方については、下記のページもあわせてご確認ください。

撹拌脱泡機の真空度とは?
Pa・kPaの見方と必要な真空度の決め方を解説

なぜ起こる?減圧速度と飽和蒸気圧の関係

液体は、その液体の飽和蒸気圧が周囲の圧力(真空度)と釣り合う圧力まで下がったところで沸騰を始めます。ここで問題になるのが「減圧の速さ」です。真空ポンプでゆっくりと圧力を下げていけば、飽和蒸気圧と釣り合う圧力に近づくにつれて材料の表面から少しずつ気化が進み、比較的穏やかに気泡が抜けていきます。

ところが、減圧の速度が速すぎると、周囲の圧力が飽和蒸気圧を一気に下回ってしまい、材料が沸騰の起点となる核(気泡の種)を十分に持たないまま、沸点を超えた状態(過熱状態)に置かれることがあります。この過熱状態がある限界を超えたときに、抑え込まれていた分がまとめて気化し、大きな気泡による激しい沸騰、すなわち突沸が発生すると考えられています。あらかじめ脱気処理が進んで溶存ガスが少ない材料や、粘度が低くさらさらした材料ほど、気泡の核になるものが少ないため、この現象が起こりやすい傾向があります。

突沸が起きるとどうなる?装置汚染・故障のリスク

突沸によって材料が噴きこぼれると、チャンバー内部やのぞき窓、真空計、真空ポンプに至る配管の途中に材料が付着することがあります。付着した材料が固化したり、溶剤成分が金属部品や樹脂パッキンを劣化させたりすると、清掃や部品交換のための稼働停止が発生し、生産計画に影響を及ぼしかねません。

また、噴きこぼれた分だけ処理できる材料の量が減ってしまうため、歩留まりの低下にも直結します。装置を長く安定して使い続けるためには、日頃からの点検や消耗部品の状態確認も欠かせません。

撹拌脱泡機のメンテナンス方法

突沸を防ぐ「減圧速度の段階制御」という考え方

突沸を避けるための基本的な考え方は、真空度を一気に深めるのではなく、段階的に下げていくことです。具体的には、まずある程度の真空度まで減圧していったん保持し、材料の様子を確認しながら次の段階に進めるという運用が挙げられます。装置側でも、減圧の速度や到達真空度を段階的に設定・制御できる機能を持つ機種があるため、突沸しやすい材料を扱う場合は、こうした制御機能の有無やきめ細かさを確認しておくとよいでしょう。

あわせて、容器内に処理量に対して十分なヘッドスペース(材料を入れていない空間)を確保しておくことも、万一気泡が急激に膨らんだ場合の噴きこぼれを防ぐ工夫のひとつです。真空脱泡機全体の仕組みについては、下記のページもご参照ください。

真空脱泡機とは?
仕組みや真空撹拌機との違い、選び方を解説

自社材料は突沸しやすい?判断のポイント

すべての材料が同じように突沸するわけではありません。自社の材料が突沸のリスクを抱えているかどうかを判断するうえでは、次のような点を確認しておくとよいでしょう。

初めて扱う材料や、配合を変更した材料については、量産条件でいきなり減圧するのではなく、少量でのテストや低速での段階的な減圧から始めて挙動を確認することをおすすめします。デモ機の貸し出しやテスト依頼に対応しているメーカーもあるため、活用を検討してみてもよいでしょう。

材料の系統によっても、注意すべき度合いはある程度傾向が異なります。例えば、溶剤を多く含む塗料やインキ系の材料は溶剤の揮発による突沸に注意が必要ですし、水を多く含む材料も同様に水分の急激な気化に配慮が必要です。一方、UV硬化樹脂のように揮発成分が少ない材料でも、混錬時に巻き込んだ空気量や粘度によっては、想定より深い真空度で急に気泡が膨張することがあります。いずれの系統でも「この材料だから大丈夫」と決めつけず、実際の減圧挙動を確認したうえで運転条件を詰めていく姿勢が欠かせません。

突沸の兆候に気づいたときの対応

運転中に、容器内の液面が細かく泡立ち始めたり、局所的に泡が急激に大きくなったりする様子が見えたら、突沸の予兆と捉えて対応することが大切です。多くの機種では、真空計の数値の動きを見ながら手動で減圧を止めたり、リークバルブなどで圧力を緩めたりする操作ができます。異常に気づいた時点で減圧を一時停止し、材料や装置内部の状態を確認したうえで、より緩やかな条件に設定し直してから再開するとよいでしょう。

万一噴きこぼれが発生してしまった場合は、装置を停止したうえで、真空計やセンサー周りに材料が付着していないか、パッキン類に劣化や損傷がないかを点検してから運転を再開することが望まれます。こうした異常時の初期対応の手順は機種によって異なるため、事前に取扱説明書やメーカーへの確認を通じて把握しておくと安心です。

カタログ・仕様を確認するときのチェックポイント

撹拌脱泡機を選定・比較する際は、到達真空度の数値だけでなく、以下のような点もあわせて確認しておくと、突沸のリスクを踏まえた選定がしやすくなります。

これらの機能の有無や操作性は機種によって差があるため、社名や型番だけで判断せず、実際の画面や操作方法をデモやカタログで確認しておくことが大切です。

対応可能な撹拌脱泡機の
方式が分かるメーカー

まとめ:突沸は「減圧の速さ」と「材料の特性」の組み合わせで起こる

突沸は、真空度を急に深めすぎることで材料が飽和蒸気圧を下回った状態に置かれ、抑え込まれていた気化が一気に進むことで起こる現象です。低沸点成分を多く含む材料や、粘度が低く気泡の核が少ない材料ほど、このリスクが高まる傾向があります。対策としては、減圧速度を段階的にコントロールできる運用や機種を選ぶこと、そして自社材料の特性を事前に把握しておくことが基本になります。なお、実際の減圧条件や制御機能の設定については、扱う材料によって適切な内容が大きく異なるため、最終的な判断はメーカーや専門家にご確認ください。

撹拌脱泡機メーカーの
おすすめ3選をチェック!

効率的な処理を追求できる
撹拌脱泡機メーカー厳選3社

自社製品や素材の特性に合わせて繊細な調整ができ、効率化につながるカスタマイズ性と、自社製品での処理精度をしっかり追求できるようレンタルとデモの両方ができることに注目し、処理目的ごとにメーカーを厳選しました。
量産‧⼯業利⽤
多量・大容量の
処理向き

三星工業

公式キャプチャ
引用元:三星工業株式会社公式HP(https://www.mitsuboshi-k.co.jp/high_rotor/)

独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。

防爆仕様のため大量の材料を混ぜても安心

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

シリカ、高粘度樹脂、ワニス、セラミック増粘剤、オイル、UV硬化性樹脂など

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

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量産‧⼯業利⽤
小~中容量の
処理向き

写真化学
(プロダクトカンパニー)

公式キャプチャ
引用元:写真化学(プロダクトカンパニー)公式HP(https://www.shashin-kagaku.co.jp/)

1カップ300mlから7000mlまでの間で、中容量のラインナップが最多

撹拌による温度上昇を抑制することができる

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

接着剤、フィラー、導電性ペースト顔料、酸化チタンなど

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

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研究開発利用
小容量での
開発処理向き

シンキー

公式キャプチャ
引用元:シンキー公式HP(https://www.thinkymixer.com/ja-jp/)

研究用コンパクト機のなかでも、100mlの小型モデルあり。

新規材料でのレシピ提案のアフターサービスあり

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

シール材、グリス、ガラスペースト、シリコーン樹脂、PDMSなど

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

電話で問い合わせる

2021年11月2日時点で、Google検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが製造している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
【選出基準】
多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を製造しているメーカーを選出。
小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種製造しているメーカーを選出。
小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種製造しているメーカーを選出。