こちらでは、撹拌脱泡の自転公転式について、その原理やしくみなどをわかりやすく解説しています。また、特徴をつかみやすくするため、プロペラ式のミキサーと比較しつつ、注目ポイントをまとめました。さらに、自転公転式ミキサーの具体例についても紹介していますので、自社のニーズに合う撹拌機の購入を検討する際には、ぜひ参考にしてみてください。
公転・自転を並行させられる構造になっているツールとして、自転公転式ミキサーがあげられます。
公転回転と自転回転が同時進行で行われると、上下対流と渦巻き流が生じます。これらのエネルギーを使用して材料を流動させるのが、自転公転ミキサーの仕組みです。ちなみに、上下対流は、外周部では上から下に向かって流動しますが、中心部ではその反対に、下から上に向かって流動します。また、渦巻き流についても、上部では中心から外周方向へ、そして、底部ではその反対方向、つまり外周部から中心部へ、それぞれ流動します。
上述のような特徴から、自転公転式ミキサーを使用することで、より短い時間での処理が可能になります。また、材料の流動のみで撹拌を行うため、プロペラ式ミキサーと比較すると、装置が傷みにくく、また、コンタミの発生もありません。さらに、構造上、清掃を容易に行えるというメリットもあります。
次のような原理が働くことで、材料を流動させることが可能になっています。
プロペラ翼の回転方向推力が軸方向の流動を起こす「軸流型」、そして羽板の遠心力が半径方向の流動を起こす「輻流型」のふたつがあります。
また、部分ごとの流動は次のようになります。
大容量を処理することができます。また、機能ごとにさまざまなミキサーがあるので、適用範囲はかなり広いです。ただ、構造上の問題から、自転公転式ミキサーよりも摩耗が生じやすいという問題点があります。清掃の際にも手間がかかります。
各ミキサーシリーズの特徴をまとめました。
ハイ・ローターシリーズは、より高い分散能力を持たせるために、独自の自転公転比率が採用されているところが、大きな特徴です。分散能力が高いので所要時間を短縮させ、しかも脱泡精度アップも実現可能です。比率は、自転が2であるのに対し、公転が1となっています。この比率だと、輝度の上昇が顕著になり分散性が高まることが、新潟大学との共同研究において確認されています。
こちらのシリーズにおける全てのモデルが、4cup搭載に対応しているところも注目ポイントです。遊星式分散脱泡装置のほとんどが1cupあるいは2cupであることを鑑みると、量産向けモデルの代替として人気を得ていることにもうなずけます。
ハイ・ローターシリーズの最大モデルである「HR200モデル」は、合計80Lバッチまで対応可能です。20L容器を4cup搭載することができる構造になっています。研究開発のラボスケールモデルから、80Lクラスモデルまで、豊富なラインナップが展開されています。いずれも同じ構造・原理が採用されています。
高粘度・高比重の材料だけでなく、大きな粘度差や比重差がある材料であっても、しっかりと撹拌させることができるのが、VMXシリーズの特徴です。真空下で撹拌できる構造になっているので、比較的短い時間で完全脱泡をすることができます。
コンパクト設計が採用されているため、超小型の卓上タイプになっています。軽量化も実現しており、重量はわずか33kgです。また、静音・低振動に仕上げられているところも注目ポイントです。そしてもうひとつ、メインテナンスフリーなので、手間がかかりません。ドライポンプが採用されているので、オイル交換やその補充が要らないというのがその理由です。
撹拌脱泡のあと、真空下で遠心力を使用してシリンジへ充填されるしくみになっています。泡の再混入などが生じないいので、ストレスなく、しかもスピーディーに作業を進めることが可能です。
多くの型式が展開されているあわとり廉太郎。ここでは、そのうち2つの型式をピックアップし、それぞれの特徴を紹介していきます。
最大積載量は930g×2です。撹拌モードプラス最大670Gの加速度および真空で、パワフルな撹拌と脱泡を同時に行うことが可能です。サブミクロンレベルの気泡も除去できる、高性能のミキサーです。
材料の性質に合わせて回転数を変更するなど、設定を最適化できるところも注目ポイントです。タッチパネルが搭載されている型式なので、条件の設定もスムーズに行えます。
また、作業を効率的にこなせるように、リモート運転を可能にする外部通信機能を搭載。通信機能が付加されている点など、まさにトレーサビリティ管理に大きく貢献するミキサーだといえます。さらに、ドアダンパーに改良が加えられたので、安全面においてもレベルアップしています。
最大積載量は5kg×2です。同シリーズARV-310P・ARV-931TWIN・ARV-5000のスケールアップ版といえるミキサーです。おもな注目ポイントは次のとおりです。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。