攪拌中に異物が混入したりコンタミ(汚染)が発生したりすると、生産工程や実験過程に悪影響を及ぼし、攪拌対象のものを全て廃棄しなければならないことも少なくありません。攪拌機を使う上で異物混入を避ける対策は必須です。
人が攪拌機を操作したり、攪拌中にワークのそばで作業を行っていたりする場合、髪の毛やふけ、唾液といった人体から発生するさまざまなものがワークへ混入してしまうリスクがあります。
そのため適切なキャップやマスク、手袋の着用は当然として、アクセサリーや装飾品、過度なメイクなどは身につけないといった服装規定も考慮しましょう。
特に食品を取り扱うような環境や、外部との行き来が簡単に行えるような作業場の場合、ハエやクモ、ゴキブリといった害虫の混入リスクにも配慮しなければなりません。また、虫が攪拌機に巻き込まれると、さらに細分化されて分かりにくくなることも問題です。
日常的な清掃で通路や経路の清潔さを保つだけでなく、専門業者による駆除なども行います。
医薬品などを取り扱う研究室や実験室では、目に見えない微少な菌やウイルスが混入することでワークがコンタミしてしまい、実験結果が乱れたりワークそのものが不良になったりします。
クリーンルームに対応した攪拌機の導入や、密閉状態で攪拌できる攪拌機などを検討することも必要です。
粘度の高い流体を攪拌したり、長期にわたって同じ攪拌機を利用したりしている場合、攪拌機に付属している攪拌翼(プロペラ)が破損したり、あるいは機械から剥がれた塗装が混入したりするリスクも増加します。
攪拌機の状態を定期的なメンテナンスでチェックするだけでなく、導入時には攪拌体の素材や、塗装やめっきといった表面加工にも配慮して製品選びを行ってください。
攪拌機の本体や攪拌体の破損によって機械の一部や金属片が混入するだけでなく、作業場で使用している様々な道具や器具からについても異物混入の原因になり得ます。
そのため、色々な機器を使って製造ラインを構築したり、道具を使ったりする際には、常に全体的なメンテナンスを意識しましょう。
材料や原料が入っている袋や容器を開封して、攪拌機の中に内容物を入れる際、包装や袋の一部が破れるなどして混入してしまう場合があります。
袋や容器の開封は必ず攪拌機の外側で行い、安全に内容物を投入できるオペレーションを考えてください。
攪拌作業中の状態や機器のデータなどをチェックするために、現場の作業員が記録紙へ手書きで記入しているような場合、折れたシャーペンの芯が混入したり、消しゴムのカスが落ちたり、あるいは文具の一部が破損するといった恐れも考えられます。
可能であればペーパレス化を導入したり、攪拌作業と記録作業を行う場所を分けたりといった工夫が有効です。
着用している衣服が機械に巻き込まれたり、汚れた衣服のまま作業に入ったりした場合、糸くずや布の切れ端、服に付いているゴミなどが混入するリスクも高まります。攪拌作業へ入る前には必ず専用の作業衣へ着替え、さらに作業衣の上から粘着ローラー使って汚れを取ったり、エアシャワーを導入したりといった対策も効果的です。
攪拌作業中に実際に異物が混入した事例について、混入した物やその影響などを見ていきましょう。
和菓子の製造作業現場にて、小豆を煮る釜の洗浄に使用した金属たわしの繊維が洗浄作業中に千切れ、そのまま餡の製造が行われてしまった事例です。釜の使用前の確認が不十分だったことと、金属たわしの破片が除去されず残存したことが発生の原因となっています。
同じく和菓子の製造作業現場にて、長さ約2㎝の針金が混入した事例です。原料の小麦粉を自動軽量するたに、金網上で攪拌していましたが、この金網が摩耗していたことが原因で金網が破損。破損した網が針金となって和菓子に混入してしまいました。現在は金属探知機の設置で防止対策を講じています。
スナック菓子の製造にて、破れた布の破片が繊維質の破片となって混入した事例です。製造ライン清掃に使用していたクロスが、清掃作業時に破れてライン上に残ってしまい、そのまま取り除かれず製品と一緒に包装されたのが原因です。製造開始前のラインのチェックを徹底することを防止対策としています。
焼洋菓子の製造現場にて、製品を焼く鉄板に油を塗布するブラシの毛が抜け落ちて鉄板上に残存してしまったケースです。そのまま菓子の生地が入れられてブラシの毛が混入してしまい、そのまま焼き上げられてしまいました。現在は使用するブラシの改善や、目視検査の強化が防止対策となっています。
惣菜(サラダ)の製造現場にて、ポテトベースとカット野菜の混合作業中、使用していた使い捨て手袋をボール内に置いた状態で作業を中断してしまったことが原因の事例です。手袋がボール内に入っていることに気づかず混合作業を再開し、盛り付けてしまったとのこと。防止対策は混合時のしゃもじの使用です。
ハムカツサンドイッチの調理パン製造作業中、ハムカツを揚げる工程で使用していた金網タイプのザルが破損し混入してしまったケースです。長さ1㎝、太さ0.3㎜の針金状金属異物が混入することになってしまい、ザルを金網タイプからパンチタイプに変更することで防止対策を講じています。
デコレーションケーキの製造現場にて、糸くずがより合わさったような異物が混入してしまった事例です。クリームをホイップする際のオートミキサー回転昇降ハンドルの部に巻き付けられていた衛生タオルが、千切れてそのまま混入したとのこと。ハンドルノブを衛生タオルからアルコール消毒に変更して対処しています。
豆腐の製造ラインにて、凝固剤を添加するための分配製造機の混合攪拌用バケットが一部開放されていたことが原因の事例です。解放された箇所から虫が凝固前の豆乳内に混入してしまい、施設の防虫対策の見直しと侵入防止対策を講じることになりました。
本事例の洋菓子の製造施設内では、原料保管場所と製造場所の区分がされていなかったため、生地加熱場所と隣接されていました。そのため原料保管場所から製造場所へ虫が侵入し、加熱工程で生地に付着したまま製造されたとのことです。防虫対策の徹底と定期的な害虫駆除の実施で対策としています。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。