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真空脱泡機とは?

製品の信頼性や耐久性を高めるうえで、製造工程の重要な設備のひとつとなるのが「真空脱泡機」です。電子部品の絶縁性、樹脂成形品の強度、はんだペーストの品質などには、材料内部の微細な気泡(ボイド)を徹底的に低減させるボイドレス化工程が深く関わっています。本記事では、真空脱泡機の仕組みや真空撹拌機との違い、解決できる現場の課題、選び方のポイントを分かりやすく解説します。導入前の疑問を整理し、自社に合う装置を比較検討する際の参考にしてください。

真空脱泡機の基本知識と特徴

真空脱泡機とは、容器内を減圧して大気圧以下の状態(真空状態)にすることにより、材料内部に潜む気泡を効率的に膨張・破裂させて除去する装置のことです。通常の環境では材料の粘度や表面張力に阻まれて抜けない微細な泡も、真空下で処理を行うことで、気泡の極めて少ない均質な仕上がりが期待できます。

真空脱泡機の仕組みと「真空撹拌機」との違い

減圧によって気泡が抜ける原理

真空脱泡機では、密閉されたチャンバー(容器)に取り付けられた真空ポンプによって内部の空気を強力に吸引します。気圧が下がると、材料の中に閉じ込められていた目に見えないほど微細な気泡は、周囲の圧力が下がることで何百倍にも大きく膨張します。大きくなった気泡は強力な浮力を得るため、ドロドロとした粘り気のある材料の中でも一気に表面へと浮上し、気泡の膜が耐えきれなくなって破裂(破泡)します。この一連のメカニズムによって、材料に無駄な負荷をかけることなくクリーンに気泡の除去が期待できます。

「まぜる」が主目的の真空撹拌機との違い

現場で混同されやすい装置に「真空撹拌機」がありますが、これらは導入の目的が異なります。真空撹拌機は、水と油の乳化や粉体の分散など、二つ以上の材料を「均一に混ぜ合わせること」が第一の目的です。混ぜる過程で新たな空気を巻き込まないために真空状態を利用します。一方、真空脱泡機は、すでに混ざっている材料や注入直前の材料から「混入した気泡を徹底的に除去しボイドを抑制すること」を主目的として設計されています。自社の課題が「混ざり方の不良」にあるのか、「気泡による欠陥」にあるのかによって使い分ける必要があります。

なお、真空撹拌機自体の詳細な仕組みや用途については、下記のページで詳しく解説しています。

真空撹拌機とは?仕組みや選び方など導入前に知るべきポイントを解説

真空脱泡機で解決できる現場の課題と主な用途

電子部品や半導体の不良対策(絶縁破壊・クラックの防止)

LEDの封止用シリコン樹脂や、車載電子制御ユニット(ECU)の絶縁ポッティング材の処理で広く活用されています。これらのハイテク部品に微細な泡が残っていると、製品が熱を持ったときに泡が膨張してクラック(ひび割れ)を起こしたり、高電圧がかかった際に隙間で放電が起きてショート(絶縁破壊)したりする致命的なトラブルに繋がります。真空脱泡を行うことで、こうした製品の欠陥を未然に防ぐ効果が期待できます。

高粘度な樹脂や接着剤のボイドレス化(強度低下の防止)

エポキシ樹脂やウレタン樹脂、シリコンなど、粘度が高く「置いておくだけでは自然に泡が抜けない」材料の処理に不可欠です。接着剤や注型用の樹脂に気泡が残ったまま硬化させてしまうと、成形品の中に空洞(ボイド)ができ、本来の接着強度や構造的な強度が著しく低下してしまいます。材料の粘性に負けずに高いレベルでのボイドレス化を達成するために真空脱泡機が選ばれています。

はんだペースト(フラックス)の飛散防止

基板実装に用いられるはんだペースト(フラックスペースト)の脱泡にも用いられます。はんだ内部に空気が噛み込んでいると、基板を加熱するリフロー炉の中で空気が爆発的に膨張し、溶けたはんだを周囲に飛び散らせる「はんだボール(スパッタ)」を発生させます。これが隣り合う電極に付着すると回路のショートを引き起こす原因となるため、塗工前の高度な真空脱泡プロセスが重要な意味を持ちます。

自社に合う真空脱泡機を選ぶ際のポイント

材料の「粘度」と「処理量(容量)」の確認

真空脱泡機は、実験室レベルの数十ミリリットルから、工場の量産ラインに対応する大型クラスまで幅広いラインナップがあります。まずは1回あたり、あるいは1日あたりに処理したい「仕込量」を明確にしましょう。また、サラサラとした液体なのか、粘土のように硬いペーストなのかによっても、必要な真空度や排気スピードが異なります。材料の特性をあらかじめ整理しておくことが大切です。

静置する「チャンバー型」か、まぜながら抜く「自転公転式」か

装置の構造は、主に2つのタイプに分けられます。ひとつは、材料を容器ごと密閉空間に入れて静かに減圧する「真空チャンバー型(デシケーター型)」です。比較的低粘度な材料を低コストで大量に処理するのに向いています。もうひとつは、容器を傾けた状態で高速で回転させ、強力な遠心力で泡を液面へ引き出しながら真空で破裂させる「自転公転式(遊星型)」です。プロペラなどの撹拌翼を使わないため異物混入のリスクが極めて低く、チャンバー型では泡が上がってこないような超高粘度マテリアルの精密な脱泡・分散を短時間で処理できる強みを持っています。

真空脱泡機のメンテナンスと運用上の注意点

真空ポンプの管理と「突沸」への対策

真空脱泡機の性能を安定して維持するためには、気密性を担保する開口部のゴムパッキン(Oリング)の摩耗や、背後にある真空ポンプのオイル管理(汚れや量のチェック)など、定期的なメンテナンスが欠かせません。また、運用面で注意すべきなのが材料の「突沸(とっぷつ)」です。材料に含まれる溶剤や水分に対して、急激に真空度を上げすぎると、材料が一瞬で激しく沸騰して容器から噴きこぼれ、装置の内部を汚染してしまうことがあります。これを防ぐために、真空度を段階的にコントロールできる機能を持った機種を選んだり、容器の中に十分な余裕(ヘッドスペース)を持たせて材料を仕込んだりする運用の工夫が求められます。

まとめ:自社の課題に合わせた最適な脱泡方式の検討を

真空脱泡機は、材料の中に潜む微細な気泡を適切に取り除くことで、電子部品や樹脂製品、はんだ実装などの品質と信頼性を底上げしてくれる重要な装置です。導入を検討する際は、自社が扱う材料の粘度や可使時間、生産計画に合わせた最適な構造・スペックの装置を選ぶことが成功のカギとなります。まずは、各メーカーが対応している方式や特徴を比較することから始めてみてはいかがでしょうか。

まずは自社の課題を解決できる情報や対応メーカーを比較検討してみることから始めてみましょう。

撹拌脱泡機メーカーの
おすすめ3選をチェック!

効率的な処理を追求できる
撹拌脱泡機メーカー厳選3社

自社製品や素材の特性に合わせて繊細な調整ができ、効率化につながるカスタマイズ性と、自社製品での処理精度をしっかり追求できるようレンタルとデモの両方ができることに注目し、処理目的ごとにメーカーを厳選しました。
量産‧⼯業利⽤
多量・大容量の
処理向き

三星工業

公式キャプチャ
引用元:三星工業株式会社公式HP(https://www.mitsuboshi-k.co.jp/high_rotor/)

独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。

防爆仕様のため大量の材料を混ぜても安心

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

シリカ、高粘度樹脂、ワニス、セラミック増粘剤、オイル、UV硬化性樹脂など

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

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量産‧⼯業利⽤
小~中容量の
処理向き

写真化学
(プロダクトカンパニー)

公式キャプチャ
引用元:写真化学(プロダクトカンパニー)公式HP(https://www.shashin-kagaku.co.jp/)

1カップ300mlから7000mlまでの間で、中容量のラインナップが最多

撹拌による温度上昇を抑制することができる

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

接着剤、フィラー、導電性ペースト顔料、酸化チタンなど

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

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研究開発利用
小容量での
開発処理向き

シンキー

公式キャプチャ
引用元:シンキー公式HP(https://www.thinkymixer.com/ja-jp/)

研究用コンパクト機のなかでも、100mlの小型モデルあり。

新規材料でのレシピ提案のアフターサービスあり

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

シール材、グリス、ガラスペースト、シリコーン樹脂、PDMSなど

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

電話で問い合わせる

2021年11月2日時点で、Google検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが製造している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
【選出基準】
多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を製造しているメーカーを選出。
小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種製造しているメーカーを選出。
小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種製造しているメーカーを選出。