撹拌脱泡機で多く使われている脱泡方式は、「遠心脱泡」です。遠心脱泡は、遠心力を利用して材料に含まれている気泡を取り除きます。
自転と公転の相互作用により、渦巻流と上下対流を発生させて気泡を押し出し、泡を巻き込むことなく脱泡します。これがプロペラや翼を使わずに撹拌・脱泡する遠心脱泡の特徴であり、仕組みです。粘度や比重に差がある材料でも、短時間で均一に撹拌・脱泡できます。
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遠心脱泡とは、遠心力を利用して材料に混入した気泡(空気)を取り除くことです。材料に混入した気泡を遠心力でどのように取り除くのでしょうか?以下、順を追って説明します。
遠心力を利用して、材料に混入した気泡を取り除く遠心脱泡機は、様々な生産工程や研究・開発など幅広い分野で利用されている便利な機械です。活躍の場が多い遠心脱泡機には、できることがたくさんあります。そのなかの主な2つについて解説します。
液体や粉体、高粘度なものからペースト状のものまで、様々な材料を均一に混ぜるためには、それぞれの材料を「分散」させる力が重要です。遠心脱泡では自転と公転という2つの遠心力を利用しています。材料を分散するには特に自転が重要とされ、自転2:公転1の比率により高い分散能力が得られ、処理時間の短縮や精度向上を生み出します。
シリンジに液剤を入れる際などに生じた気泡も、遠心力と真空によって取り除くことが可能です。円筒の径が小さいシリンジ内にも自公転による渦巻流や上下対流を起こして気泡を押し出し、自転のせん断力によって破泡させます。
シリンジを使用する場合は、搭載できるシリンジサイズに合わせて機械を選ぶ必要があります。
羽根やロールを使わない遠心脱泡という方法を取り入れた撹拌脱泡機を使うことで、いくつかの利点が考えられます。機械を導入することで得られる、3つのメリットをご紹介します。
遠心脱泡では、プロペラやローラーを使わずに撹拌と脱泡を行います。そのため、材料をせん断するという工程がありません。素材を分断したり変質させたくない場合に有効です。
高粘度な材料や配合に比重差がある材料でも、強力な流動力を用いて短時間で分散を行い、継続して流動することにより高い脱泡効果が得られます。
容器を自転させることで材料に流れが生じて撹拌を促し、容器の公転で遠心力が作用して脱泡を促します。容器を45度傾けることで上下対流と渦巻流という複雑な流れが発生。遠心脱泡では、公転と自転を組み合わせることで、より高度な撹拌と脱泡を実現しているのです。このように公転運動と同時に自転運動をする回転を「遊星回転」といいます。
大気中で行う遠心脱泡は、ある程度の脱泡を行うことが可能です。しかし、高い粘度の材料など遠心力や流れでは破泡しきれない微小な気泡が残ってしまうことがあります。その場合は真空減圧を加えることで、細かい泡まで十分に取り除くことが可能です。
粘度が高い材料で気泡が取れなかったり、時間がかかる破泡しにくい材料の場合は、真空減圧装置を組み合わせることで高い脱泡力が得られます。
AWATORON3は、シリンジ用延伸脱泡機です。海外対応で、220~300V仕様もラインナップに入っています。シリンジに液剤を入れると発生する気泡を除去できるのが強みです。液剤を入れたシリンジをセットし、スイッチを押すだけで作動します。シリンジサイズに合わせて2種類あり、約5分で脱泡を完了できるのです。また、エポキシ樹脂やグリス等の各種液剤も脱泡できます。
撹拌脱泡機で遠心脱泡がよく採用されている理由は、公転と同時に自転を行うことにより高い撹拌と脱泡処理が同時に実現できるからです。さらに材料をせん断せず、高粘度の材料でも短時間で均一に処理できます。撹拌脱泡機は、遠心力を利用することにより機械1台で撹拌と脱泡、両方のメリットを得て処理できる便利な装置です。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。