撹拌脱泡機は材料を高速で自転と公転させ、撹拌と泡を除去するための機器です。医薬品の材料やインクや塗料や樹脂や接着剤などさまざまな素材で使用されています。
そんな撹拌脱泡機の用語や現象について紹介します。
材料に直接触れて混ぜ合わせるプロペラ部分を指し、攪拌脱泡機に限らず攪拌装置で重要な部分です。撹拌翼は、槽内全体の循環流を生み出す「吐出作用」と、局所的なせん断力の「せん断作用」というお互い相反する作用に転換します。
形状もいくつか種類がありますが、低粘度を対象としたもので一般的なのはプロペラ翼です。 他にもディスクタービン翼、傾斜パドル翼があります。高粘度ならアンカー翼、ヘリカルリボン翼が適しています。
邪魔板と呼ばれるもので、撹拌時に上下方向の流れを発生させることで流れを乱します。バッフルがないと、撹拌時に横方向のみなど一方向にしか回らない供回りという現象が起き、効率性を損なうのです。バッフルは混合性能を促したい際に役立ちます。
低粘度の液体を撹拌するケースよく採用されますが、バッフルは適当に設置するだけだと効果を得られません。設置位置や個数や長さによって、混合性能に影響を与えるからです。もし導入する場合は、目的や用途をふまえた上で選びましょう。
モーターは動力源として撹拌翼を回転させます。種類は複数ありますが、攪拌装置でいえば一般的に交流モーターが採用されているのが特徴です。撹拌を適切に行うには、モーター容量も踏まえた上で選びましょう。
ただし、余裕動力が大きくなり過ぎるとイニシャルコストも増え、運転効率が悪くなるため結果としてランニングコストが増加します。電圧や周波数や防爆構造など、使用環境も含めて選ばなければいけません。
歯車を通じて、回転速度を落とす装置です。変わりにトルク(力)を生み出します。同一モーターで回転速度を半分に減速すると、生み出されるトルクは約2倍です。減速機メーカーもさまざまなラインナップがあります。
各メーカーで開発されている減速機メーカーの特徴も異なるため、採用する際には自社の目的に合うものを選びましょう。基本的には、撹拌して目的を達成できる能力を有しているかどうか見極めましょう。
回転速度を変化させるための装置です。減速機はモーターの回転速度を一定比率で減速します。一方、変速機は回転速度を調整できるのが特徴です。電気式と機械式の2つがあります。
攪拌装置の運転途中で粘度が変化する、1つの攪拌装置による多品種生産をしたい、研究開発目的で撹拌速度を細かくテストしたいなどのケースでは変速機が適しています。
回転する撹拌軸から内外に液やガスなどが漏れないよう防ぎます。シールという名称でも知られている装置です。軸封装置では「槽内を密閉できる機密性」「安定的に回転を伝えるための機能性」「その2つの両立」が求められます。
軸封装置を選ぶ際のポイントが「圧力」「温度」「取り扱う液の性状」「危険度」「腐食性」「回転速度」「固形分の有無」です。保守点検のしやすさも合わせて検討した方がいいでしょう。適した軸封方式や材料、装置に適している製作や据付精度の確保も必要です。
撹拌機の多くはオーバーハング(片持ち)の長い軸を持ち、バランスがいい構造とはいえません。そのため撹拌軸には強度が必要です。軸には回転運動として動力を伝達するためのねじり応力、さらに撹拌翼が槽内にある流体からのラジアル力で生み出される曲げ応力、撹拌翼の推力での荷重に耐えうる軸径が求められます。
軸の固有振動数と撹拌機の回転数により、発生する共振リスクの対策も必要です。共振振動はシール漏れや軸が曲がる、破損するなどのリスクがあります。
軸受による小さな軸経の採用もできますが、強度が弱いと軸受と軸封装置の寿命を縮める結果になりかねません。また軸径が大きくなる分、コスト増加につながります。軸径はさまざまな要素を考慮したうえでの選定が必要です。
リアクターやタンクやベッセルなどがあります。形状はLH(液高さ)/D(内径)の比で示され、約LH/D=1.0~1.5が効率的とされています。形状は細過ぎても、大きく過ぎても問題が生じるため注意が必要です。
たとえば細過ぎる場合、中~高粘度のものだと上下で濃度差が生じやすくなります。一方、大き過ぎれば槽径も大きくなることで、耐圧面における容器の板の厚みの増大につながるのです。
スケールアップでは、伝熱やガスの流速に合わせた形状で選びます。ボトム形状は槽の強度、底で流れが停滞することを避けるために2:1半楕円を選ぶことが多いです。また、目的により、ジャケットやコイル、ノズルやバッフルなどの付帯設備も取り付けます。その点を考えた上で、内部部品の設置ではフローパターンを邪魔しないことを考えるのと同時に、機械的な強度を確保した上での両立が必要です。
乳化は「水と油が均一に混ざり合った状態」です。水と油は本来混ざり合いません。しかし、乳化は混ざり合わないものが均一に混ざり合っている状態です。乳化は珍しい現象ではなく、日常的に料理でもたくさん使われています。
その中の1つがドレッシングです。酢と油ですが、ボトルをよく見ると2層に分かれており、使用するときは振って混ぜます。まさに乳化です。ただし一過性なため、時間の経過でまた2層に分かれます。
また、水と油は乳化剤でつなげることが可能です。マヨネーズは酢と油と卵で作られていますが、その中の卵が乳化剤として酢と油をつなげる役割を持っています。
沈殿は溶液中に混ざった微小の個体が沈んで底に溜まった状態です。科学的には、溶液中で化学反応が起き、不溶性の生成物ができる、溶液中の溶質が飽和して固まった状態をいいます。
撹拌翼が回転すると、流れは周囲を回転するだけになります。これは撹拌翼と液の相対速度が小さいことで起こる現象です。相対速度が小さいと位置関係、つまり距離に変化が起きません。ぐるぐると撹拌翼の周囲を回るだけで、効果的な混合ではないと判断されます。
軸流・放射流は撹拌に有用と判断されます。撹拌翼に対して、上下方向に液の流れが発生しますが、これは撹拌翼と液の相対速度が大きいためです。水平回転流(接線)とは違い、距離に変化があります。
速度の差で変形が生じる力をせん断力といいます。例えば液体を1枚の板とイメージしてください。液体という板が積み重なった状態だと、液の層ができます。層の一番下の板をゆっくりと動かし、一番上を早く動かすと液層の変形が生じます。速度の差で変形が生じるのは、せん断力があるためです。
粘度は「流れやすさを表す値」ともいえます。水や油や空気は、一つの場所から動かない物質ではありません。高いところから低いところへ自由に形を変えながら移動する性質があります。ただ、洗面器に水を入れて回すといずれ止まります。油は短時間で止まるでしょうし、マヨネーズなら回りません。形状の変化の速度、回転が止まるまでの時間には差があります。その差は粘性の違いによるものです。この粘性の大きさを表す値が粘度と言います。
各撹拌槽では、伝熱性能に違いがあります。伝熱は移動する熱量の大きさを示すものです。伝熱性能については、単位時間あたりの交換熱量と考えると良いでしょう。撹拌槽の伝達性能について、単位時間あたりの交換熱量(W又はKcal/hr)で表します。計算式は「交換熱量Q=伝熱面積A×統括電熱係数U×温度差⊿Tです。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。