数ある撹拌機の中で、マグネットの力を利用しているものがマグネチックスターラーです。シンプルな構造をしており、磁力によってさまざまな液体に対応できます。一方、磁力や回転子のサイズによっては、不具合を引き起こしてしまうケースがあります。
磁石を利用した撹拌機は、マグネチックスターラー(またはマグネットスターラー)と呼ばれています。回転子・撹拌子という棒を容器の中へ入れ、マグネットの力を利用して液体などを撹拌するのが特徴です。
一般的なマグネチックスターラーはフェライト磁石を用いており、安価なためコストを抑えて導入できます。ただ、フェライト磁石は粘度の低い液体の撹拌に適している一方、高粘度の液体の撹拌には不向きです。高粘度の液体を撹拌するには、ネオジムなど磁力の強いマグネットや、高い動力を備えたマグネチックスターラーを使う必要があります。
マグネチックスターラーは構造がシンプルで、主に筐体と運転部分、制御部分でできています。筐体には円盤と、S極・N極それぞれのマグネットがいくつか配置されています。運転部分はモーターが設置されており、マグネットを回転させる役割を担っています。
そしてマグネットが回転を始めると、天板上の容器にセットした回転子が追従して回転を始め、同時に容器内の液体が撹拌されます。制御部分は、回転数やヒーターの温度の調整が可能で、ボタンやつまみで制御できるようになっています。
マグネチックスターラーは、主に以下の容器で使用できます。ただし、容器の形状も考慮して選ぶ必要があります。
マグネチックスターラーはガラス容器での使用に適しています。実際に研究室などでは、ビーカーのようなガラス製容器が広く用いられています。
ステンレス容器もマグネチックスターラー向きです。耐久性もあるため、扱いやすい金属容器といえます。
マグネチックスターラーを利用する際は容器の材質だけでなく、形状も考慮しておきましょう。マグネチックスターラーは、回転子を容器内へ入れて液体を撹拌する装置です。底の形状が凹凸になっている容器は不向きで、安定した撹拌ができない可能性があります。安定した回転を保つためにも、底の形状が平らになっている容器を使いましょう。
マグネチックスターラーの回転子は、一般的な撹拌機の羽の役割を担っています。さまざまな形状の回転子がありますが、広く普及しているものは棒状のマグネットをフッ素樹脂で覆った回転子です。
安定した撹拌を実現するためには、回転子選びが重要です。以下で挙げる要素を考慮して選びましょう。
また、撹拌する目的も明確にする必要があります。目的をしっかり決めたうえで、マグネチックスターラーの適性を判断しましょう。
マグネチックスターラーで使用する容器の底が盛り上がっていると、回転子がズレたり、飛び跳ねたり(脱調)することがあります。液体の撹拌も不安定になるので注意しましょう。
回転数を急速に上げると、回転子が脱調してしまう可能性があります。容器内の様子を見ながら、ゆっくり回転数を上げることが大切です。
マグネチックスターラーは、極端な高速回転での使用に向いていません。回転子がズレるほか、摩耗・破損してしまうおそれがあります。
磁力が強い回転子を使用した場合、マグネチックスターラー本体と引き合ってフッ素樹脂の摩耗が早まります。適切な磁力の回転子を選びましょう。
容器に対して回転子のサイズが大きいと、回転子が中央にセットされなくなったり、ズレたりする場合があります。
磁力が弱まっていたり、フッ素樹脂の摩耗が進んだりした回転子を使うと、液体の撹拌が不安定になってしまいます。劣化が進んだ回転子は処分し、新品と交換しましょう。
もし液体の撹拌と合わせて脱泡もしたい時hあ、脱泡機能が備わった撹拌脱泡機がおすすめです。撹拌・脱泡それぞれのプロセスを同時に行えるため、作業工数やコスト削減につながります。
マグネチックスターラーは低粘度の液体処理に適していますが、撹拌脱泡機の中には、高粘度の液体や粉体を処理できるものもあります。幅広い用途に使えますので、脱泡が必要な際は導入を検討してみるとよいでしょう。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。