撹拌の世界では、研究開発が進行中です。同時に事故も発生しています。撹拌に関するニュースを知ることは、撹拌が必要な業務の効率化につながりますし、事故防止の観点からも見逃せません。
プラモデル用の塗料は、プラモ製作へのこだわりを持っている方にとってないがしろにできない部分です。イメージ通りの発色にするには、ボトルに溜まった顔料をしっかりかき混ぜなければなりません。ただ、粘度が高いとかき混ぜる作業も大変です。
プラモデル用塗料撹拌ツールは、その作業負担を軽減してくれます。ボトルの状態で高速回転させることで、底に溜まる顔料を巻き上げてかき混ぜます。例えば、「ボルテックスターラーTURBO」という製品は、クリップタイプのホルダーにセットしてつまみを回すという簡単な操作で塗料を均等に混ぜられます。
プラモ用塗料ボトルをはじめ、デカールのりや缶スプレーなどさまざまな塗料に対応できるため利便性は高いでしょう。
2024年1月、食肉工場で撹拌機が原因の事故が発生しています。作業者が撹拌機で食材の材料を取り出そうとした時、機械を停止していないというミスがありました。作業者は機械に巻き込まれ、重傷を負ってしまっています。
労働安全衛生法では食品加工用機械から内容物を取り出す場合、機械の運転停止が規定されています。また、労働者に用具を使用させなければならないと定められているのです。事例の災害発生時、危険防止措置が講じられていなかった可能性が指摘されています。
2025年5月、山梨県富士河口湖町の畜産会社で男性が飼料撹拌機に巻き込まれ死亡しました。昼休み中に撹拌機内を確認しようとして停止を怠った可能性があり、事故が起きたとみられるものです。非常停止スイッチの位置表示、撹拌槽へのガード設置、インターロックの義務化を事業者に指導しました。
畜産・食品向け撹拌機事故は死亡災害を含め、これまでにも何度も報告されています。安全スイッチがバイパスされていた事例もあり、改修費を惜しんだ小規模事業者ほどリスクが高い傾向があるともされています。
業務用に使われる撹拌機は大型のミキサーとも言えるものです。内部を少しのぞくだけでも危険があります。必ず電源遮断とロックアウト/タグアウトを徹底すべきです。メーカーの方でも事故防止の対策はしていますが、使用者側が安全を軽視すると事故は起きます。使用者の危機意識が、事故を防ぐ最後の砦となります。
撹拌機大手の佐竹マルチミクスは 2025年5月、撹拌についての専門書『新・撹拌技術』を刊行しました。監修は東京大学名誉教授の長棟輝行氏。基礎流体力学からAIを用いた機種選定アルゴリズム、バイオプロセス最適化まで網羅し、社内研修テキストとしての採用もあるそうです。定価3万を超える本ながら初版がすぐに完売した点も注目といえます。
海外文献に依存しがちだった撹拌理論を、国内で最新改訂されている意義は大きく、装置選定の暗黙知を形式知化する動きが加速しそうです。中小化学メーカーがデジタルツールを導入する際の参考になるでしょう。
筑波大学・北海道大学・エクシオグループ・滋賀県守山市は、2025年5月、焼却施設「もりやまエコパーク環境センター」でごみピットの撹拌条件を AIが提示する実証プロジェクトを開始しました。Pegasusスーパーコンピュータ上で運転ログと画像データを学習させ、最適な撹拌タイミングとショベルの投入位置をリアルタイムに提案します。熟練オペレーターの作業を補完し、CO₂排出を年間 5 %削減する見込みです。2026 年度に市内本稼働、2028年までに全国25施設へ横展開を目指します。
撹拌プロセスは経験依存度が高く属人化しがちですが、ごみ処理というインフラ領域でAIを用いた「見える化・最適化」が進んだ点は画期的です。化学・食品プラントでも同様のデータ駆動型撹拌制御が普及すれば、エネルギー削減と人材不足の二重課題を同時に解決する道が開けるでしょう。
撹拌機の導入は、従業員の安全を守るための事故対策もセットと考えてください。実際、過去には撹拌機による死亡事故が複数発生しているためです。プラスチック製品の製造業では、撹拌機に転落して撹拌羽根に巻き込まれた従業員が亡くなる事故も発生しています。
「撹拌機に囲いがなかった」「インターロック機構のような安全措置もなかった」「撹拌機の電源と温水器の電源配線が一緒のため、温水器の調整作業中でも撹拌機は動いていた」「安全作業のための作業標準書の作成や安全衛生教育がされていなかった」という点が要因として指摘されています。導入を決定するなら、事故対策も徹底しなければなりません。
2023年2月、大阪大学力学グループメンバーで構成されたチームが、ダイセイカブシキカイシャとの協業にて、かき混ぜ棒なしに混ぜる粉体混合機の試作機を完成させました。ファーマラボEXPO大阪にも出展されています。
容器の回転を活用したミキシング技術で、撹拌翼や他のパーツを使いません。従来の技術と比較してエネルギー効率の高さが注目されました。洗浄性に優しい点も、地球に優しいと評価されています。撹拌機の振動調整もできるため、混合の制御機能もアップされているようです。
鶴岡市藤島エコ有機センターでは、臭気の少ない高品質な対比製造を行っています。ハイパー有機GTという名称で、庄内地域で育った牛や豚のふん、鶴岡市産のもみ殻や米ぬかを原料としています。消臭剤も添加物も使用しておらず、有機JAS規格にも適合している堆肥です。
原材料をホッパーに投入しスクリューで混ぜながら運び、加圧混合機でも原料に圧力をかけて混ぜて水分量が減ることにより、発酵が促進され臭気が軽減されます。次の第3工程にあたる一次発酵槽で空気を混ぜるために、撹拌機が使われているのです。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
防爆仕様のため大量の材料を混ぜても安心
シリカ、高粘度樹脂、ワニス、セラミック増粘剤、オイル、UV硬化性樹脂など
1カップ300mlから7000mlまでの間で、中容量のラインナップが最多。
撹拌による温度上昇を抑制することができる
接着剤、フィラー、導電性ペースト顔料、酸化チタンなど
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの小型モデルあり。
新規材料でのレシピ提案のアフターサービスあり
シール材、グリス、ガラスペースト、シリコーン樹脂、PDMSなど
2021年11月2日時点で、Google検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが製造している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
【選出基準】
多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を製造しているメーカーを選出。
小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種製造しているメーカーを選出。
小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種製造しているメーカーを選出。