撹拌脱泡機は、化学工業、医療、食品、電子部品製造など多岐にわたる分野で使用され、素材の均一化や気泡除去を効率的に行うための装置です。
特に重要な点として挙げられるのは「高粘度材料の処理」であり、多くの高度な産業で必要となる部分です。撹拌脱泡機が果たす役割は大きいと言えます。通常、粘り気の強い樹脂やペーストを混ぜ合わせると、内部に微細な気泡が無数に巻き込まれてしまいます。これらの気泡は、電子材料であれば絶縁不良や導通不良、構造材料であれば強度不足といった欠陥を引き起こします。
撹拌脱泡機は、材料を入れた容器を高速で自転させながら公転させる「遊星回転方式」などの形式を採用することで、強力な遠心力を生み出します。この力により、プロペラなどの羽根を使わずに、材料の深部から気泡を押し出しつつ、ナノレベルでの均一な分散を実現するのです。
このように幅広い業界で利用される撹拌脱泡機において、製品の信頼性や品質を担保するためには、国際規格であるISO認証の取得が欠かせません。ISO認証は、企業が国際的に認められた基準に従い、製品設計や製造、環境への配慮を行っていることを示すものであり、顧客にとって安心感をもたらす要素です。
特に、グローバルなサプライチェーンにおいては、ISO認証は単なる「お飾り」ではなく、取引を行うための信頼性を高める役割を果たします。海外のバイヤーやパートナー企業にとって、未知のメーカーの信頼性を測る際、ISO認証の有無は最初のスクリーニング基準となるからです。
ISO 9001は品質マネジメントシステムに関する国際規格であり、撹拌脱泡機の製造プロセス全体を包括的に管理する枠組みを提供します。この規格を取得した企業では、材料選定、設計、製造、出荷後のサポートまで、すべての段階で品質基準を満たすことが求められます。
具体的には、「トレーサビリティ(追跡可能性)」の確保が挙げられます。例えば、EV(電気自動車)市場の拡大に伴い、リチウムイオン電池の電極スラリー製造において撹拌脱泡機の需要が急増しています。もし電池に不具合が生じた場合、どの機械で、いつ、どのような設定で製造されたかを遡って検証する必要があります。
ISO 9001に基づく厳格な文書管理とプロセス管理が行われている装置であれば、こうした高度な品質要求にも耐えうることが証明されます。
また、医療分野における軟膏や歯科材料の調整においても、異物混入や撹拌ムラは許されません。ISO 9001のリスクベース思考に基づき、あらかじめ製造工程のリスクを洗い出し、予防処置を講じているメーカーの製品は、バリデーション(妥当性確認)の負担を軽減する点でもユーザーに選ばれています。
撹拌脱泡機の回転速度や撹拌効率、脱泡性能に関する試験がISO 9001のフレームワーク内で実施され、顧客が期待する性能を一貫して提供できるようになっています。
ISO 14001は環境マネジメントシステムの国際規格であり、製品の製造や運用過程での環境負荷を低減するための指針を提供します。撹拌脱泡機の分野では、エネルギー効率の向上や廃棄物削減、リサイクル可能な素材の使用が環境への配慮として挙げられます。
撹拌脱泡機の安全性や性能を確保するためには、ISO規格だけでなく、業界特有の規格や認証も重要な役割を果たします。たとえば、ヨーロッパ市場で販売される撹拌脱泡機は、CEマークの取得が必須となります。これは、機械指令や低電圧指令、電磁両立性指令(EMC指令)などの基準を満たしていることを示します。
特にEMC指令への適合は、精密機器工場での導入において極めて重要です。撹拌脱泡機が発する電磁ノイズが、周囲の計測機器やロボットの誤作動を招く恐れがあるためです。
CEマークを取得しているということは、こうしたノイズ対策が国際基準レベルで施されていることの証明となり、自動化が進んだスマートファクトリーへの導入障壁を低くします。
可燃性ガスや粉塵が存在する環境で使用される場合には、ATEX指令に基づく防爆認証が必要です。これらの規格はISO 9001やISO 14001と連携して、撹拌脱泡機の品質、安全性、環境適合性をさらに強化します。
ISO認証は、一度取得すれば終わりというものではなく、定期的な監査や更新手続きが必要です。これにより、認証取得企業は常に業務プロセスの改善を求められ、顧客に対して一貫した品質とサービスを提供し続けることができます。たとえば、ISO 9001を取得した企業では、顧客からのフィードバックを反映した製品改良が行われ、顧客満足度の向上に直結します。また、ISO 14001に基づく取り組みによってエネルギー効率が改善された製品は、顧客のランニングコスト削減を実現し、環境負荷の低減という社会的価値も提供します。

独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
防爆仕様のため大量の材料を混ぜても安心
シリカ、高粘度樹脂、ワニス、セラミック増粘剤、オイル、UV硬化性樹脂など

1カップ300mlから7000mlまでの間で、中容量のラインナップが最多。
撹拌による温度上昇を抑制することができる
接着剤、フィラー、導電性ペースト顔料、酸化チタンなど

研究用コンパクト機のなかでも、100mlの小型モデルあり。
新規材料でのレシピ提案のアフターサービスあり
シール材、グリス、ガラスペースト、シリコーン樹脂、PDMSなど
2021年11月2日時点で、Google検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが製造している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
【選出基準】
多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を製造しているメーカーを選出。
小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種製造しているメーカーを選出。
小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種製造しているメーカーを選出。