ペンキなどの塗料やプリンタで使う材料などは、種類が多く、比重や粘度もさまざまです。手撹拌では均一に混ぜることが難しいため、多くは機械を用います。ここでは塗料などを、撹拌脱泡機を使って効率よく処理した事例をご紹介します。
インクは、色によって材料の比重や粘度、特性が変わるため、安定した調合が難しいものです。手作業やプロペラ式ミキサーではムラやダマができやすく、気泡が混入します。作業方法は熟練者の経験や勘に頼るところが大きく、その技術を簡単に引き継げないことが、品質保持の課題です。
撹拌脱泡機を導入すると、様々な問題や課題が解決できました。どんなインクでも均一に混合でき、気泡も混入せず、誰が操作しても同じ品質を保つことが可能です。使い捨てディスポ容器を使用して、機械洗浄にかけていた時間を他の作業に充てて有効活用しています。
塗料メーカーでは、様々な種類の塗料を作っており、中には非常に粘度の高い材料を使用することがあります。現在、撹拌のやり方に問題はありませんが、混入した気泡を取り除くために数時間、長いときは4時間放置して脱泡処理を行っています。脱泡にかかる時間を、どうにかして短縮できないかと方法を探していたところ、撹拌脱泡機の存在を知りました。
導入してみると、何時間もかかっていた脱泡が、わずか数分で完了し、作業効率と生産性が大きく向上しました。多品種の材料にも幅広く対応可能で、必要な場所に運びやすいコンパクトな卓上サイズが便利です。
3Dプリンタでシリコーン製の人工臓器を製作する際、材料を混ぜ合わせた後、真空チャンバーに入れて脱泡を行うため、作業に時間がかかっています。材料にムラや気泡があると、できた人工臓器の透明度が低くなり、内部構造の確認がしづらく、外科手術研究の妨げになります。作業時間の短縮や、手間がかからない方法を探していて、撹拌脱泡機にたどり着きました。機械を導入したことで、材料を均一に撹拌し、高精度な脱泡が行えます。でき上った人工臓器は高い透明度で、レーザー光が散乱することなく、血流の流れもはっきりと確認できました。
顔料や高機能材料を取り扱うメーカーでは、材料をムラやダマがなく素早く分散して、撹拌脱泡することが重要です。想定処理量1リットルを、別容器を移し替えることなく、1度に処理できる方法がないか探していたところ、撹拌脱泡機を知りました。機械を導入すると、1リットルを1度に処理できる上、遠心脱泡と真空を取り入れた方法で、短時間の高精度な処理が可能です。撹拌時間を短縮したい時や長尺の容器を使いたい時は「シフト式」、処理する量を優先する場合は「ストレート式」と、2種類のローターから選択して、材料や作業に適した処理ができます。
攪拌羽不使用の撹拌機なので準備・片付けの手間がかかりません。材料の使用後も保存が可能で、再攪拌も行えることで無駄を削減できます。密閉作業を行えるので、飛沫や臭気も防止可能です。容器を傾斜回転させることで対流を発生させるので攪拌の品質を向上させました。塗装印刷から樹脂形成、薬品化学品、食品等幅広い業界にて活躍している撹拌機は、液体から粉体、粒体等に対応しています。
塗料の攪拌を徹底的に検証した三枚羽根タイプの撹拌機です。減速機がないので構造がシンプルですが低速領域回転を可能としました。回転数の変動が少ないことで回転を安定させるとともに、空気消費量を大幅削減することで省エネ効果も実現。ちなみに潤滑剤として工業用ワセリンが用意されていることから、排気エアに余計な油分が含まれません。これにより、塗装環境の改善をもたらします。ちなみに最大出力時のトルクは0.15(N・m)となっています。
900mPa・s程度までの幅広い粘度に対応しています。ラジアンピストン式のエアモーターは省エネ効果も見込めるもので、減速機がないものの低速領域回転を可能としている点、簡易な構造なので消耗部品が少ない点、回転数の安定性が特徴。ちなみに手持式のものからスタンド式、セットアップ式のものが用意されており、手持式に関しては原則日1:5のものもラインアップされています。
60mPa・s以下の低~中粘度塗料に適している撹拌機です。減速機がないので構造がシンプルです。消耗部品が少ない一方で、低速領域の回転を可能とし、空気消費量を大幅に削減したので省エネ効果も高いです。攪拌塗料の設備によって中型エアモーターと小型エアモーターのいずれかを選べます。いずれのタイプにも潤滑剤として工業用ワセリンが用意されていますので、余計な油分を含まないことによる塗装環境改善に寄与します。
攪拌を行うだけであれば撹拌機で問題ありません。しかし同時に脱泡をしたいと考えているのであれば、攪拌・脱泡それぞれが可能な機器の導入がおすすめです。撹拌脱泡機は複数の業者で開発されています。選ぶ際はどのような機能がついているのか、またどのようなものを撹拌脱泡できるのかを確認してみましょう。また撹拌したいペンキの量はどれくらいかについても、機器を選ぶ際のポイントになります。
まずは自社で何を求めているのかを整理することで、導入すべき機器も見えてくるはずです。
ペンキ缶の撹拌方法は、丸缶と石油缶・半切り缶で異なります。0.2L~3.2Lの丸缶を攪拌する場合は、手で持って振りましょう。底に沈殿したペンキがきちんと混ざるよう、缶を逆さにしてから振るのがポイントです。また、塗料を容器へ移す前には、攪拌棒を使ってよくかき混ぜてください。
7L~14Lの石油缶や半切り缶は、重たいので手で振るのは難しいです。そのため、缶の角を地面に立てるなどである程度角度をつけ、そのまま左右に振りましょう。これも丸缶と同様、逆さにしてから行ったり、容器へ移す時には攪拌棒でよく混ぜたりするのが一般的です。
なお、屋根用として販売されているシルバーのペンキやツヤ消しの室内塗料は、顔料が沈殿しやすいので、念入りにかき混ぜましょう。
ペンキなどの塗料には、固形物の顔料や樹脂、つや消し剤や溶剤などが混ざっています。これらをしっかりと混ぜ合わせ、塗装に適した状態にするのが「攪拌」です。塗料を均一にするのが目的のため「たくさん振れば良いのでは?」と思う人もいるかもしれませんが、実は激しい攪拌が逆効果になることも。
パールやメタリック、高光沢や濃彩色などの意匠性が高い塗料は、攪拌によって顔料が砕けてしまう可能性があります。色彩の変化や顔料の再凝集などの原因になるため、これらの塗料を使う際には注意が必要です。
攪拌によって塗料がダメージを受けてしまう原因には、かき混ぜるスピードや方法が関係しています。塗料を高速回転させてしまうと、顔料の樹脂に負荷がかかって砕けたり分散していた顔料がくっ付き、品質が損なわれてしまうのです。また、速いスピードで攪拌すると摩擦熱によって塗料が熱を持ち、樹脂の変質を招くことも。
塗料をダメにしないためにも、低速でゆっくりと均一にかき混ぜてください。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。