【美混NAVI】 撹拌脱泡機のすべてが分かる情報メディア » 撹拌・脱泡の基礎知識 » 撹拌脱泡機の防爆とは

撹拌脱泡機の防爆とは

撹拌脱泡機を使用する場所によっては、安全性向上のために防爆仕様が求められる場合があります。作業する環境に可燃性ガスや粉塵、蒸気が発生するようなことはないでしょうか?火災や爆発の危険がある場合は防止策が必要です。防爆とはどういう意味なのか、どんな場合に防爆仕様が必要になるのかについて解説します。

防爆とは

「防爆」とは、可燃性ガスや蒸気、粉塵による火災や爆発を予防することです。工場など作業現場で、可燃性のガスや蒸気が空気中に放出されると、わずかな火花などが原因で爆発や火災が起きる危険があります。このような危険を回避するための対策は重要です。

防爆の分類

火災や爆発などの危険を防止する防爆では、危険な場所を3つに分類しています。最も危険な「0種危険場所」は通常状態もしくは長時間持続的に危険がある場所です。「1種危険場所」は通常状態で危険雰囲気を生成する恐れがある場所。「2種危険場所」は異常状態で危険となる恐れがある場所としています。

防爆構造について

工場や作業現場で、プロパンやガソリンなど爆発性ガスの雰囲気中に電気機器を用いて作業すると、機器による電気花火や熱によってガスに引火し、火災や爆発を引き起こす危険があります。このような危険な場所でも安全を保って作業できるような設計がされていて、労働省(※現:厚生労働省)の認定を受けたものが「防爆構造」の電気機器です。

防爆構造のランク

防爆構造は、電気機器の構造をクラス分けし、使用可能なガスの種類を定めることで6つのランクに分類されています。構造はアルファベットで区別され、耐圧d・油入o・内圧f・安全増e・本質安全i・特殊sの6つ、ガスは発火点を6つに分類したG1からG6までです。これに1~3の爆破等級を表す数字と組み合わせて「d2G4」などと表記されます。

どのような場合に防爆が必要になるのか

撹拌脱泡機を使用する環境内に可燃性のガスや粉塵、蒸気が発生している、もしくは発生する恐れがある場合は、防爆を考える必要があります。

爆発や火災を引き起こす要因が少しでもあればそれを取り除くか、取り除くことができない場合は適切な対策をしておくことが重要です。作業環境がどの危険場所に分類されているのかを確認し、防爆として取るべき対策や機器構造を把握しておきましょう。

撹拌脱泡機のカスタマイズで
何ができるかチェック

防爆撹拌機の重要性と選定のポイント

防爆撹拌機は、危険場所における安全な作業環境を維持するために欠かせない装置です。特に、化学工業や製薬、食品製造といった分野では、爆発性ガスや引火性液体を扱う場面が多く、これらの環境下での撹拌作業には高い防爆性能が求められます。防爆撹拌機は、このような環境で発生する可能性のある爆発を未然に防ぎ、作業員の安全と設備の保全を確保します。

撹拌機の防爆性能は、内部での火花や高温発生を防ぐ構造によって成り立っています。特に、耐圧防爆撹拌機は内部の爆発を外部に影響させないよう設計されており、エアモーター撹拌機は電気を使用せずに圧縮空気で動作するため、火花の発生リスクを完全に排除しています。それぞれの方式は、作業環境や用途に応じて選ばれますが、適切な選定を行うことで、安全性を確保することが可能です。

防爆エリアとゾーニングの理解

防爆撹拌機を選定する際には、まず作業環境の危険度を正確に把握する必要があります。危険場所は、爆発性雰囲気の発生頻度と存在時間に基づいて「ゾーン0」「ゾーン1」「ゾーン2」に分類されます。ゾーン0は爆発性雰囲気が連続的または長時間存在する場所を指し、厳しい条件下で使用する装置には特に高い防爆性能が求められます。ゾーン1は通常の運転状態で爆発性雰囲気が発生する可能性が高い場所、ゾーン2は通常では爆発性雰囲気が発生しないが、万が一の故障や異常時に短時間発生する可能性がある場所です。

耐圧防爆撹拌機は主にゾーン1やゾーン2で使用され、エアモーター撹拌機はこれらのゾーン全てに対応可能です。ゾーン分類に適合する防爆性能を持つ撹拌機を選ぶことが、法規制の遵守と安全な作業環境の構築において重要なステップとなります。

防爆撹拌機の種類とそれぞれの特性

耐圧防爆撹拌機

耐圧防爆撹拌機は、内部で爆発が発生した際に外部に影響を及ぼさないよう、耐圧性の高い筐体に内部構造が収められています。新東科学の「スリーワンモータEx」シリーズは、このタイプの代表例であり、実験室レベルから産業規模まで対応可能なモデルを提供しています。このシリーズは、使用する液体の粘度や容量に応じてモデルを選択できる柔軟性が特徴です。

エアモーター撹拌機

エアモーター撹拌機は圧縮空気を動力源としており、電気を使用しないため、電気火花の発生リスクがありません。加藤ステンレス科学のエアモーター撹拌機は、流量調整が可能で、回転数やトルクを作業環境に合わせて制御できます。このため、エア駆動方式はゾーン0のような厳しい環境でも安心して使用することができます。

防爆規格と認証の重要性

防爆撹拌機を選定する際には、防爆規格や認証への適合性も重要な要素です。日本では「TIIS認証」が広く用いられ、国際的には「ATEX指令」や「UL認証」が基準となります。これらの規格に準拠した製品を選ぶことで、法的要件を満たし、安全性を確保することができます。特に、化学工業や石油精製といった厳格な規制が適用される分野では、認証を取得している製品の使用が求められます。

メンテナンスと安全教育の必要性

防爆撹拌機は高度な安全性能を備えていますが、定期的なメンテナンスと適切な使用がその性能を発揮する前提となります。耐圧防爆型では、密閉構造内の部品の摩耗や劣化を定期的に点検する必要があります。エアモーター型では、圧縮空気供給装置の管理が不可欠です。これらのメンテナンスを怠ると、製品本来の防爆性能が損なわれ、リスクが高まる可能性があります。

さらに、防爆撹拌機を使用するオペレーターには、装置の操作方法や防爆規格に関する基礎知識を教育することが必要です。特に非常時の対応手順を明確にし、訓練を行うことで、緊急事態において迅速かつ安全な行動を取ることが可能となります。

省エネルギー性能と環境対応への期待

近年、エネルギー効率や環境負荷削減が注目されており、防爆撹拌機にもこれらの要素が求められています。エアモーター撹拌機の一部では、太陽光発電で生成された圧縮空気を動力源として利用する技術が導入されています。また、耐圧防爆型撹拌機においても、省電力設計や効率的なモーター技術が進化しており、エネルギー消費を抑える取り組みが進んでいます。

防爆撹拌機の選定や使用においては、単に安全性を確保するだけでなく、環境対応や長期的な運用コスト削減の観点も考慮することで、持続可能な生産体制を実現することができます。

撹拌脱泡機の防爆についてまとめ

撹拌脱泡機を可燃性ガスや蒸気、粉塵などが発生するような場所で使う場合は、防爆仕様が必要です。防爆は危険場所が分類され、電子機器の構造がランク分けされており、取るべき対策が示されています。まずは、自社の機械に防爆が必要か確認し、必要であればどのレベルの防爆が必要かを理解した上で、対応可能なメーカーに相談しましょう。

撹拌脱泡機メーカーの
おすすめ3選をチェック!

効率的な処理を追求できる
撹拌脱泡機メーカー厳選3社

自社製品や素材の特性に合わせて繊細な調整ができ、効率化につながるカスタマイズ性と、自社製品での処理精度をしっかり追求できるようレンタルとデモの両方ができることに注目し、処理目的ごとにメーカーを厳選しました。
多量の材料を
一気に混ぜて
大量生産する企業向け

三星工業

公式キャプチャ
引用元:三星工業株式会社公式HP(https://www.mitsuboshi-k.co.jp/)

独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。

防爆仕様のため大量の材料を混ぜても安心

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

シリカ、高粘度樹脂、ワニス、セラミック増粘剤、オイル、UV硬化性樹脂など

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

公式HPで
詳しく確認

電話で問い合わせる

少量の材料を
効率よく生産する
企業向け

写真化学
(プロダクトカンパニー)

公式キャプチャ
引用元:写真化学(プロダクトカンパニー)公式HP(https://www.shashin-kagaku.co.jp/)

1カップ300mlから7000mlまでの間で、中容量のラインナップが最多

撹拌による温度上昇を抑制することができる

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

接着剤、フィラー、導電性ペースト顔料、酸化チタンなど

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

公式HPで
詳しく確認

電話で問い合わせる

少量の材料を使用する
研究開発の
企業向け

シンキー

公式キャプチャ
引用元:シンキー公式HP(https://www.thinkymixer.com/ja-jp/)

研究用コンパクト機のなかでも、100mlの小型モデルあり。

新規材料でのレシピ提案のアフターサービスあり

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

シール材、グリス、ガラスペースト、シリコーン樹脂、PDMSなど

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

公式HPで
詳しく確認

電話で問い合わせる

2021年11月2日時点で、Google検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが製造している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
【選出基準】
多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を製造しているメーカーを選出。
小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種製造しているメーカーを選出。
小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種製造しているメーカーを選出。