【美混NAVI】 撹拌脱泡機のすべてが分かる情報メディア » 撹拌脱泡に関する用語や現象 » 撹拌時の流動状態

撹拌時の流動状態

撹拌を行うと、流動という現象が発生します。流動の意味は、文字通り流れて動く状態で、複雑な振る舞いをするのが特徴です。層流や乱流が見られますが、適切な撹拌を行うためには流動状態や流体の因子などの知識を持っておくと良いでしょう。

層流と乱流

層流と乱流は流動を理解する上で重要な現象です。「しっかり混ぜているはずなのに、なぜかムラができてしまう…」となる場合、撹拌槽の中の「流れの状態」を意識する必要があります。両方とも流動という点で共通していますが、それぞれの特徴は異なります。

層流

進行方向以外の速度が0であり、規則的な流れを示します。水道から流れる水をイメージしてみてください。蛇口から出た水はまっすぐ下に落ちます。その流れは規則的です。撹拌時には、撹拌羽根に対してくっついて動くような規則的な流動になります。

乱流

進行方向以外の速度に関係する成分があることで、不規則な流れを示します。この現象は、同じ状態を保とうとする性質の慣性力のほうが、流体の動きにくさを示す粘性力よりも大きいことで発生するのです。撹拌羽根から離れて自由に、不規則的な流動が見られます。

流れを決める科学的指標

この層流と乱流に関わる指標が撹拌レイノルズ数です。これは、流体に働く「慣性力(動き続けようとする力)」と「粘性力(流れを妨げる力)」の比率を示す無次元数で、この数値を理解することが効率的な撹拌への第一歩となります。

この数値は、流体の密度と撹拌羽根の回転数、そして羽根直径の2乗を掛け合わせた値を、流体の粘度で割ることで算出されます。流れの状態を客観的に評価し、制御するための指標です。

このレイノルズ数の値によって、流れの状態は3つの領域に明確に区分されます。

一つ目は層流域で、レイノルズ数がおよそ2300以下の極めて穏やかな流れです。この状態は粘性力が支配的で、流れは規則的かつ層状になります。混合は主に分子の動き(分子拡散)によって行われるため効率は低いですが、高粘度液体や、細胞培養のように強い力に弱い物質を優しく均一にしたい場合に選択されます。

二つ目は乱流域で、レイノルズ数が4,000を超える不規則で混沌とした流れです。慣性力が粘性力を圧倒し、大小様々な渦が液体をダイナミックに混ぜ合わせます。

そして三つ目が、両者の中間にあたる遷移流域です。層流と乱流の特性が混在する不安定な領域です。

撹拌羽根や回転数で因子が決まる

条件次第で、層流や乱流どちらが発生するか決まります。層流は、撹拌羽根のサイズ(代表直径)が小さく、回転数が低いケースで起こりやすいです。乱流は、撹拌羽根のサイズが大きく、回転数が高いケースで起こります。

撹拌羽根のサイズと回転数は、各メーカーの仕様で異なるものの、メーカーは通常使用を想定して撹拌羽根を設計・開発しています。乱流が生まれるような撹拌を基本に置いて作られているので、問題や使い方に誤りがない限り層流が起こる可能性は低いでしょう。

設計も重要

レイノルズ数を求める考え方から、設計に関する重要なヒントが見えてきます。注目すべきは、羽根の直径が流れの状態に2乗で影響する点です。撹拌効果を高めたい場合、回転数を上げるよりも、羽根のサイズを大きくする方が効果的であることを意味します。

撹拌時の流動状態について

撹拌の流動状態には、水平回転(接線)流と軸流・放射流があります。一般的に、軸流・放射流がいい流れで、水平回転(接線)流は悪い流れとされているのです。

水平回転(接線)流

水平回転(接線)流は、回転する撹拌羽根の周囲を回るような流れです。撹拌羽根と液の相対速度の小ささにより起きる現象で、位置関係(距離)がほぼ変わりません。撹拌でしたくてもできない状態であり、専門的には「共回り」と呼ばれます。

この共回りが進むと、中心の液面が大きく窪む「ボルテックス(渦)」が発生し、空気を巻き込んで品質を劣化させたり、軸に負担をかけて装置の寿命を縮めたりします。

軸流・放射流

軸流・放射流は、撹拌羽根と液の相対速度が大きくなることで、位置関係(距離)が変動します。回転中の撹拌羽根に対し、上下方向(軸流)や半径方向(放射流)の液の流れが起きるからです。その状態は混合という目的を考えれば、いい撹拌といえます。

非効率な流れをしないために

邪魔板(バッフル)を導入する

「共回り」や「ボルテックス」を解決する仕組みが邪魔板(バッフル)です。槽の壁面に設置された数枚の板が、水平方向の回転流を物理的に遮断。そのエネルギーを、混合に不可欠な上下方向の流れへと変換します。邪魔板は単なる障害物ではなく、無駄な運動を有効な混合エネルギーに変える「エネルギー変換装置」です。

目的に合わせた翼の選択

邪魔板に加え、プロセスの目的に合った撹拌翼を選ぶことが大切です。

例えば、船のスクリューのような形状のプロペラ翼は、主に上下方向の力強い流れである「軸流」を作り出します。与える力は比較的穏やかで、低粘度の液体を均一に混ぜたり、固体を沈殿させずに浮遊させ続けたりするのに優れています。

一方で、ディスクに平板を取り付けたような形のラシュトンタービン翼は、遠心力で液体を外側に押し出す「放射流」を生み出します。翼の先端で非常に強いせん断力(液体を引き裂く力)が発生するため、液体にガスを細かく分散させたり、混ざり合わない液体同士を乳化させたりするのに適しています。

流体の因子と最適な流れの選び方

効率的な撹拌には、乱流を意識したほうがいい、という記述は多くの低粘度流体のプロセスでは真実です。乱流では密度が高く粘度が低い状態となります。逆に、層流は密度が低く粘度が高い状態になりやすいのです。

たとえば粘度では、水が0.001(Pa・s)に対し、マヨネーズは15~20(Pa・s)と非常に大きな差があります。粘度が高いと層流になりやすいため、流体の因子を踏まえた上で撹拌できる機器を選ぶようにしましょう。

必要となる流れは目的が決める

「効率的な撹拌=乱流」は、必ずしも正解とはいえません。プロセスの目的によって戦略的に決定されるべきです。

例えば、化学反応を促進したり、固体粒子を均一に分散させたりする場合には、迅速な混合が可能な乱流が求められます。一方で、高粘度の接着剤などを均一化したり、細胞培養のようにデリケートで強い力に弱い物質を優しく混ぜたりする場合には、製品へのダメージを避けるために穏やかな層流が選択されます。

そのため、どういった結果が必要か目的を定めておくことが大切です。

撹拌脱泡機メーカーの
おすすめ3選をチェック!

効率的な処理を追求できる
撹拌脱泡機メーカー厳選3社

自社製品や素材の特性に合わせて繊細な調整ができ、効率化につながるカスタマイズ性と、自社製品での処理精度をしっかり追求できるようレンタルとデモの両方ができることに注目し、処理目的ごとにメーカーを厳選しました。
量産‧⼯業利⽤
多量・大容量の
処理向き

三星工業

公式キャプチャ
引用元:三星工業株式会社公式HP(https://www.mitsuboshi-k.co.jp/high_rotor/)

独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。

防爆仕様のため大量の材料を混ぜても安心

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

シリカ、高粘度樹脂、ワニス、セラミック増粘剤、オイル、UV硬化性樹脂など

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

電話で問い合わせる

量産‧⼯業利⽤
小~中容量の
処理向き

写真化学
(プロダクトカンパニー)

公式キャプチャ
引用元:写真化学(プロダクトカンパニー)公式HP(https://www.shashin-kagaku.co.jp/)

1カップ300mlから7000mlまでの間で、中容量のラインナップが最多

撹拌による温度上昇を抑制することができる

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

接着剤、フィラー、導電性ペースト顔料、酸化チタンなど

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

電話で問い合わせる

研究開発利用
小容量での
開発処理向き

シンキー

公式キャプチャ
引用元:シンキー公式HP(https://www.thinkymixer.com/ja-jp/)

研究用コンパクト機のなかでも、100mlの小型モデルあり。

新規材料でのレシピ提案のアフターサービスあり

処理可能な容器の容量
300ml未満
1L未満
10L未満
20L未満
20L以上
【例えばこんな素材】

シール材、グリス、ガラスペースト、シリコーン樹脂、PDMSなど

公式HPで
詳しく確認

撹拌脱泡機の
特徴をチェック

電話で問い合わせる

2021年11月2日時点で、Google検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが製造している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
【選出基準】
多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を製造しているメーカーを選出。
小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種製造しているメーカーを選出。
小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種製造しているメーカーを選出。