撹拌を行うと、流動という現象が発生します。流動の意味は、文字通り流れて動く状態で、複雑な振る舞いをするのが特徴です。層流や乱流が見られますが、適切な撹拌を行うためには流動状態や流体の因子などの知識を持っておくと良いでしょう。
層流と乱流は流動を理解する上で重要な現象です。両方とも流動という点で共通していますが、それぞれの特徴は異なります。
進行方向以外の速度が0であり、規則的な流れを示します。水道から流れる水をイメージしてみてください。蛇口から出た水はまっすぐ下に落ちます。その流れは規則的です。撹拌時には、撹拌羽根に対してくっついて動くような規則的な流動になります。
進行方向以外の速度に関係する成分があることで、不規則な流れを示します。この現象は、同じ状態を保とうとする性質の慣性力のほうが、流体の動きにくさを示す粘性力よりも大きいことで発生するのです。撹拌羽根から離れて自由に、不規則的な流動が見られます。
条件次第で、層流や乱流どちらが発生するか決まります。層流は、撹拌羽根のサイズ(代表直径)が小さく、回転数が低いケースで起こりやすいです。乱流は、撹拌羽根のサイズが大きく、回転数が高いケースで起こります。
撹拌羽根のサイズと回転数は、各メーカーの仕様で異なるものの、メーカーは通常使用を想定して撹拌羽根を設計・開発しています。乱流が生まれるような撹拌を基本に置いて作られているので、問題や使い方に誤りがない限り層流が起こる可能性は低いでしょう。
撹拌の流動状態には、水平回転(接線)流と軸流・放射流があります。一般的に、軸流・放射流がいい流れで、水平回転(接線)流は悪い流れとされているのです。
水平回転(接線)流は、回転する撹拌羽根の周囲を回るような流れです。撹拌羽根と液の相対速度の小ささにより起きる現象で、位置関係(距離)がほぼ変わりません。撹拌でしたくてもできない状態です。水平回転(接線)流では、効果的な撹拌は期待できません。
軸流・放射流は、撹拌羽根と液の相対速度が大きくなることで、位置関係(距離)が変動します。回転中の撹拌羽根に対し、上下方向の液の流れが起きるからです。その状態は混合という目的を考えれば、いい撹拌といえます。そのため、いい撹拌は軸流・放射流の方です。
効率的な撹拌には、乱流を意識したほうがいいでしょう。乱流では密度が高く粘度が低い状態となります。逆に、層流は密度が低く粘度が高い状態になりやすいのです。層流と乱流どちらが起こるかは、製造する製品の密度や粘度でも決定します。
たとえば密度の場合、一例だとパラフィン油は0.88 (g/cm3)鉄は7.87(g/cm3)で、製品の種類生じる変動は0.8~8.0と大きな開きがあります。粘度では、水が0.001(Pa・s)、マヨネーズが15~20(Pa・s)、製品による粘度の変化は非常に大きいといえます。粘度が高いと層流になりやすいため、流体の因子を踏まえた上で撹拌できる機器を選ぶようにしましょう。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。