撹拌機とは、素材を混ぜ合わせかき混ぜる際に使う機械で、その目的はさまざまあります。固体と液体を混ぜ合わせたり、液体と粉を混ぜ合わせたりする際に使われる機械です。似た場面で使われる撹拌脱泡機との違いや、それぞれの棲み分けについて説明していきます。
撹拌機は、固体と液体、固体と固体、固体と気体など数種類の異なる物質を混ぜ合わせるための機器です。家庭で身近なものとして、手動や電動の泡だて器が撹拌機です。
また、ミキサーのように対象を粉砕しながら混ぜ合わせて液体状にしていくのも、撹拌機の一種です。撹拌機には羽根がついているものがあり、この羽根の形状によって物質をどのように撹拌するか選べます。
撹拌機の機能としては、混ぜ合わせることです。混ぜ合わせることを単に「混合」と呼ぶ場合もあります。混ぜるといっても、実質的に様々な状態があり得ます。
例えば、粉と粉を均一に混ぜ合わせたい場合、液体と色素を混ぜ合わせて均一な色付けをしたい場合、複数の素材を練り合わせて新しい素材にしたい場合、細胞などを分離したい場合。撹拌機と単純に言っても、目的に合わせて機能も大きく異なってくるのです。
撹拌気の種類は、主に2種類あります。 まず一つ目は、回転軸の先についている羽根(プロペラ)によってタンクなどに入れられた液体・固体を混ぜ合わせる、羽根(プロペラ)タイプ。もう一つは、容器を密閉・傾斜を保持して回転させる技術により、水平、垂直の三次元的な同時運動させる、遠心タイプです。
攪拌機に取り付けて羽根を支える棒を「攪拌棒」と呼びます。攪拌機の種類について考える場合、攪拌棒の種類や素材についても考えることが大切です。
攪拌棒の素材にはステンレスやガラス、ポリエステル、鉄など様々なものが活用されており、攪拌する対象との相性や耐久性などを総合的に考えて、適切な素材が選択されています。
攪拌機は機械である以上、当然ながらモーターの強さによって攪拌するパワーが変わる点も重要です。
ただし注意すべきポイントとして、動力源となるモーターの出力が常に攪拌機の動力と等しいとは限らない点を理解しておかなければなりません。
仮にモーター出力が強くても、攪拌羽根や攪拌棒の素材・形状が適していなければパワーが適切に伝達されず攪拌する力は低下してしまいます。
攪拌動力に関しては個人で計算することが困難なため、メーカーの説明書やカタログスペックなどであらかじめ動力をチェックしておくようにしましょう。
撹拌機は、遠心タイプ・羽根(プロペラ)タイプや用途、大きさによって、いろんな業界で幅広く活躍をしています。主に、建設業界や電子機器や精密機器などの製造業界、医療福祉関連業界、化粧品業界などで活躍しています。
食品業界でも撹拌機は使われています。食材同士を混ぜるとき、撹拌機は便利です。たとえば、パンをはじめ、うどんやそばのような麺類は撹拌します。ぎょうざの皮を作るときも、時間短縮と効率化のために撹拌機が使われるのです。
化学薬品や化粧品は多くの材料を混ぜ合わせて求める製品を作り出します。混ぜるために撹拌機が使われるのです。個体と液体のような性質の違う物質を混ぜるとき、すべて人間の手でやるとなれば時間も手間もかかります。また、精密で緻密という点が撹拌機の強みのため、化学薬品や化粧品を作るとき助けになるのです。
医療の現場でも撹拌機は使われています。血液の凝固を防止するときに、撹拌機が役立つのです。血液は体から外に出ると固まります。そこで撹拌機を使い、混ぜ続けることで凝固予防ができるのです。また、成分を分離させるときも、撹拌機が役立ちます。医療の現場では用途に合わせて撹拌機が複数使われているのです。
撹拌機と似たような役割を持つ機器に、乳化機や均質機、ホモジナイザーなどもあります。撹拌機との違いは、品質を均質化できるかどうかという点です。撹拌機はただ、混ぜるための機器といえます。乳化機や均質機やホモジナイザーは、もう1段上のレベル、本来混ざらないものを混ぜ合わせることができるのです。
乳化は水と油という本来混ざらないものが混ざっています。均質化は、混ざった物質同士の成分をすべての場所で均質化、つまり混ざっていない状況を作り出すのです。卵を少し混ぜたときのことを想像してみてください。
少し混ぜた程度では、混ざっていない箇所があるはずです。撹拌機は均質化までいきません。乳化機や均質機は撹拌機では限界のある、均質化ができる製品なのです。
撹拌機は、さまざまなメーカーのものがあります。どこのメーカーを選べばよいのか迷ってしまいますが、「どこで使うか」を考えて撹拌機を選べば失敗しません。
メーカーは、ターゲットとする業界を絞った商品づくりを行っています。撹拌機の機能や特徴を把握し、目的に合ったものを選ぶようにしましょう。
撹拌機の構造や原理は複雑ではありませんが、化粧品・医薬品などを作るためのものや医療品としてのものなど精密機器扱いの撹拌機もあり、定期的なメンテナンスが必要です。どのメーカーも基本的なアフターフォローはありますが、内容はメーカーによって異なります。いくつかのメーカーを比較し、手厚いアフターフォローがあるところを選ぶようにしましょう。
また、保証期間にも注目するとよいでしょう。中には、一定の金額を支払うことで保証期間が延びる仕組みになっている製品もあります。
撹拌機は電気が動力源のため、新しい製品は省エネタイプになっているものも多くあります。しかし、撹拌機は単純なものほど長持ちです。20年以上前のものでも現役で活躍している場合があります。
製品が長持ちすることは良いことですが、省エネという観点から見るとあまりに古い製品は買い直しを検討した方がお得かもしれません。
攪拌機の動力源は一般的にモーターですが、動力源としてモーターを使われていたとしても実際には複数の駆動方式が存在しており、導入を検討する攪拌機がどのような駆動方式によって稼働しているのか確認しておくことも必要です。
一般的に攪拌機の駆動方式には以下の3種類が存在しています。
電気モーターで攪拌棒・攪拌羽根が回転する代表的な駆動方式です。家庭用コンセントでも使える100Vタイプのものや200Vタイプのものがあり、モーターの種類やパワーに関しても複数の種類があります。そのため攪拌の目的や対象に合わせて選択しなければなりません。
圧縮空気で作動する駆動方式です。電力を使わず小型化・軽量化が可能であり、モーター駆動時に火花が発生することもないため防爆環境でも利用できる点が特徴です。
ただし圧縮空気を送るための配管とコンプレッサーが必要となります。
強力な磁石を搭載したマグネット継手(攪拌体)に電磁力を作用させ、磁力によって回転させることで作動する駆動方式です。攪拌対象物を入れる容器にモーター軸用の穴を開ける必要がなく、容器そのものを攪拌部と分離することができます。
攪拌体の大きさや電磁石の強さなどによって様々な種類の攪拌機を設計可能です。
攪拌機は攪拌棒と本体や容器との取付方式によっても複数のタイプに分類されます。
まずは攪拌機が独立しており、容器に攪拌羽根を差し込んで回転させて攪拌させる「可搬タイプ/ポータブルタイプ」があるでしょう。持ち運びが可能で、充電式であれば屋外でも利用できます。
次に攪拌棒と容器のフタが一体化している「固定タイプ」があります。工場などへ設置する攪拌機として一般的なモデルです。
その他にも容器のフタに攪拌機を取り付けられない場合や、液量が減少しても攪拌したい場合などに利用できる「下部型/沈降防止タイプ」があります。例えばマグネット式の攪拌機が沈降防止タイプとして利用可能であり、容器を完全に密閉した状態でも攪拌を行えたり、容器を丸ごと洗浄したりといったメリットがあります。
攪拌する対象物の粘度や量、形状、温度など条件に合わせて攪拌羽根(攪拌翼)も変えなければなりません。
例えば固体や液体を低速で攪拌するような場合、パドルタイプと呼ばれる2~4枚羽根の攪拌羽根が一般的に採用されます。また液体を中心とした攪拌であれば、船のプロペラのような3枚羽根の攪拌羽根が汎用的です。
大量な攪拌や層ができて混ざりにくい対象物の場合、攪拌棒に攪拌羽根が複数搭載された2段取り付けタイプが選ばれることも少なくありません。
その他にも高粘度の攪拌に対応できるアンカータイプ(イカリ型)や、遠心力を利用して攪拌するベルヌーイ流撹拌体、さらに特殊な素材に適合する特殊形状型などその種類は様々です。
簡単に言うと、撹拌機と、液体素材(接着剤や充填剤)に混入した気体の除去を行う脱泡機の2つの異なる処理を、1台で処理を行う装置です。
また、撹拌脱泡機には、大気圧タイプと真空タイプなど種類があり、脱泡の精度を上げたい場合には真空装置を使用したものを選びます。
主に2タイプの方式があります。一つ目は、撹拌羽根でかき混ぜつつ真空ポンプで脱泡するもの。もう一つは、遠心力で混入した気体を除去します。遠心力と真空ポンプを組み合わせた機械もあります。
機能としては、撹拌と脱泡の処理を一度に行うということですが、それに付随したメリットが複数あります。まずは機械が一つで済むので場所の節約になること、そして撹拌機から脱泡機に入れ変える手間がなくなることとそれに伴う材料ロスがなくなること、そして容器に入ったまますべての処理を完了して効率化が狙えることです。
撹拌脱泡機は、主にプラスチック製品など製造業界や、病院や検査センターなどの医療福祉業界、研究所など、製品の品質の問題や、検査や試薬検査など、間違った結果が出るなど、気体が混入することで、問題となる業界で活躍しています。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。