撹拌脱泡機は電子材料や自動車、医療、化学、化粧品など幅広い業界で使われています。樹脂、ガラス、銀などをはじめ、様々な素材が対象です。撹拌脱泡機で処理している素材や機械を導入している業界について解説します。
撹拌脱泡機は電子・電気、化学や医療、食品など幅広い業界で使用されています。具体的にどのような素材が処理できるのでしょうか?撹拌脱泡機が処理できる主な素材について、解説します。
エポキシ樹脂、カップリング材、球場溶融シリカなど
エポキシ樹脂、カップリング材、球場溶融シリカなどは、導電性フィルムの材料です。これらの撹拌脱泡には、強力な処理が必要になります。
バルチミレ酸エチルヘキシル、イソヘキサデカン、カーボンブラックなど
バルチミレ酸エチルヘキシル、イソヘキサデカン、カーボンブラックなどは油性マスカラ用の材料です。アルコールに炭素数の割合が増えると水に溶けにくくなるという性質があるため、手で撹拌すると時間がかかります。
エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、蛍光体
LEDに使われるエポキシ樹脂、シリコーン樹脂、蛍光体。樹脂は気泡が発生しやすく、蛍光体は均一に混ぜることが難しいものです。樹脂が低粘度であっても蛍光体が沈降・分離することが多くあります。
高粘度ガラスペースト
高粘度ガラスペーストは、高比重のガラス粒子が存在し、粘度が非常に高いため撹拌に時間がかかります。微細な気泡ができやすく、充填中にも気泡が入りやすいものです。完全な脱泡には真空圧を利用するのがよいでしょう。
銀ペースト
銀粒子が沈殿することなく、樹脂基材に均一分散する必要があります。気泡もなく滑らかな材料表面のペースト状に仕上げるためには、強力な撹拌脱泡機が必要です。
シリコーン樹脂と蛍光体
低粘度のシリコーン樹脂と粒子径が大きい蛍光体は、沈殿や分離が起きやすいものです。撹拌や脱泡の際は、蛍光体の沈殿や分離に注意しなければなりません。
ソルダーペースト(はんだペースト)
錫や銀などの粉末とフラックスを合わせたソルダーペーストは粘着性と粘度があります。撹拌すると粘度が下がって液体に、放置すると固体になるという2つの性質を持っているため、少し取り扱いづらい物質です。
グリスなどの潤滑剤、シール材
グリスなどの潤滑剤とシール材は、金属加工面や接合部を保護するための液剤のひとつです。チクソ性がある液剤のため、均一になりにくく、気泡ができやすいという性質があります。
低粘度シリコーン樹脂、シリケート系蛍光体
低粘度のシリコーン樹脂とシリケート系蛍光体という、比重差のある材料を沈降することなく、均一に分散できます。
エポキシ樹脂、アルミナ粉末
2液性エポキシ主剤と硬化剤を合わせたエポキシ樹脂と、白色のアルミナ粉末を沈殿させずに均一に分散できます。
幅広い業界で利用されている撹拌脱泡機ですが、実際にどのような業界で利用されているのでしょうか?主な業界をピックアップしてご紹介します。
電子・電気機器
電気・電気機器業界では、生活に密着した家電や電化製品、生活を便利で快適なものにする製品など様々なものが作られています。製品を作るために必要な各種機能性接着剤材料やフィルム状接着剤材料など多種多様に利用されています。
化学
様々な薬品や材料を使用する化学業界では、混ぜ合わせて作るものが多くあります。各種接着剤、塗料・インク・顔料、高機能樹脂、グリスなど、数多くの材料に撹拌脱泡を活用しています。
自動車
自動車業界では、金属加工面や接合部を保護するための液剤や接着剤、パッキン・ガスケット材料、セラミック材料、放熱材料、LED材料など、様々な材料の撹拌・脱泡に活用しています。
医療・医薬品
医療・医薬品業界は、多くの医薬品や軟膏、人工骨材料、コンポジットレジン材料などの撹拌脱泡に利用しています。少量の化合物の分析や3Dプリンタで作る人工臓器の材料にも使われます。
歯科
歯科業界では、治療に必要な詰め物や様々な歯科材料の撹拌・脱泡に使用されています。高粘度の材料と粉体などでも素早く均一な分散が可能です。
化粧品
メイクアップ用材料、ネイル用材料の撹拌・脱泡に使用するのは、化粧品業界です。様々な粘度の材料を扱う口紅やマスカラ、ジェルネイル、ファンデーションなどに活用しています。
大学・研究機関
大学の理工学部や研究機関など様々な研究に使われる材料などの撹拌・脱泡に使用します。流体と固体の材料の運動解析、セラミックス懸濁液の調製、ナノテクノロジー研究など多くのシーンで利用されています。
機械工具
様々な機械や工具を製作する業界では、金属表面改質材料、研磨用フィルム材料、ダイヤモンド工具材料などの撹拌・脱泡に利用しています。低粘度から高粘度の材料や粉体に対し、短時間で均一な処理が可能です。
建築資材
建築用の資材を作る業界では、断熱材に使う樹脂、電波吸収壁材など様々な材料の撹拌・脱泡に活用しています。製品の特性を変えないために、材料の発熱を抑制するなど高度な要求に応えることが可能です。
セラミック
セラミック業界では、生産工程で使用しているボトルを、そのまま撹拌脱泡機で使える仕様とし、材料を容器に移し替える手間を省き、作業効率を大幅アップして活用しています。
撹拌脱泡機は、多く業界で利用されており、高粘度から低粘度の材料、液体・粉体など様々な材料の対応が可能です。しかし、機械によっては取り扱う材料などの得意不得意があります。対応できる材料について、詳しくは直接メーカーに問い合わせるようにしましょう。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。