撹拌脱泡機とはどんな機械なのでしょうか?撹拌脱泡機がどのような方法で「撹拌」「脱泡」を行っているのか、その仕組みについて紹介します。撹拌脱泡機では、一般的な撹拌方法である「翼」や「かくはん棒」を使用した方法ではなく、別の方法、遠心力を取り入れるのがメジャーです。脱泡方法は「真空ポンプ」を使うタイプと「回転力」で気泡をつぶすタイプの2つがあります。
撹拌脱泡機で使われている撹拌方法は、撹拌機で一般的に使われているプロペラ式や3本ロール式、ローラー式ではありません。どのような方法で撹拌を行っているのかご紹介します。
撹拌脱泡機の多くが採用している撹拌方法は「自転公転方式」です。材料を入れた容器を、高速で公転・自転させ、この時に発生する遠心力と流れの間に生じるせん断力で、分散効果の高い撹拌が行われます。
これを高速で続けることにより、液体や粉体の分子が細かくなりながら移動し続け、その結果プロペラなどを使用せずに粘度・比重差のある材料でも短時間で均一な撹拌が可能となるのです。
容器の中で撹拌翼(プロペラ)を回転させ、モーターのエネルギーを全体に循環させる流れ「吐出作用」と、局所にせん断力を与える「せん断作用」という2つの作用に転換して撹拌を行います。
撹拌翼の形状は、目的や材料の種類などに合わせて選ぶことが重要です。一般的なものはプロペラ翼ですが、他に円盤にブレードを付けたディスクタービン翼、小舟のオールのような傾斜パドル翼などがあります。
撹拌脱泡機の中でも特に汎用性が高く、中速~高速回転域で使われます。軸流と乱流域を効率的に発生させられるので、循環流に関するパフォーマンスも良いです。また、広く使用されている羽形状であるため経済的でもあります。
羽の形状や径を自由にセレクトでき、層流と軸流によって上下循環流に強い攪拌効果が生まれます。中速・高速回転域だけでなく、粘土の高い塗料に対する低速回転の攪拌にも適しているでしょう。セパレートタイプや2~4枚翼など、形状もさまざまです。
円周部に角度を持たせることで、上下乱流域を発生させる撹拌脱泡機。他の製品よりも強い剪断効果と吐出流速を得られ、個体の液化や中粘土液の混合、スラリーの分散などで高いパフォーマンスを発揮してくれるでしょう。
円周部に対して直角のブレードを設けることで、羽の先端から強力な層流を発生させることが可能です。円盤を境に上下方向の対流域が生まれます。高粘土駅の溶解や分散にも適しており、沈降防止に使われることも多いです。
槽内をゆっくりと攪拌する場合は、水処理装置のフロック形成などで使われます。コンパクトなモデルは竪形、大型のモデルは横型で、複数設置されるケースがほとんどです。回転数を設定できるのも嬉しいポイントでしょう。
錨形や馬蹄形を成した撹拌脱泡機で、高粘土駅の低速回転域で用いられます。槽の側面や底面までしっかりと攪拌できるよう、羽根径を槽径に近いものにするのがポイント。これにより、塗料の付着防止と強力な攪拌効果を得られます。
撹拌はプロペラなどを回転させて行うのが一般的ですが、かくはん棒を固定して容器を回転させて撹拌するものがあります。羽根を回転する方式と比べて、泡の巻き込みが大幅に減少するため、短時間での撹拌が可能です。
かくはん棒の羽根部分は、材料や目的に応じて様々な形状があります。また、真空ポンプを搭載して撹拌と同時に脱泡できるものもあります。
3本ロールミルは3本のローラーを用いた撹拌機で、粉砕効率が高いという特徴があります。3本のロールは低速・中速・高速で回転していて、基本回転比は1:3:9。それぞれ仕込ロール、中間ロール、仕上げロールと呼ばれています。
材料に対し狭いロール間に押し込むことで圧縮を行い、ロール速度の差によるせん断によって粉砕・混錬・分散・脱泡を行います。ロール間のギャップが品質に影響を与えるため、しっかり管理することが大切です。
撹拌脱泡機で、自転公転による撹拌を行うことで同時に脱泡も行いますが、材料の粘度が高い場合など、十分な効果が得られない場合があります。撹拌脱泡機での脱泡方法について見てみましょう。
撹拌脱泡機でよく採用されている自転公転方式は、公転の遠心力で強力な重力加速度を発生させ、短時間での脱泡が可能です。
液面に運ばれた気泡が自転のせん断力によって破泡。低粘度の材料は脱泡できますが、高粘度の材料は気泡が取れなかったり時間がかかったりします。遠心力では気泡を分離できても破泡しにくく、大気中の処理では脱泡力はやや弱くなります。
真空ポンプを用いて、タンク内を真空にして脱泡力を高める方法があります。自転公転による上下対流と渦巻状の流動を真空下で行うと、気泡の体積が膨張し、速いスピードで気泡が液面まで運ばれます。運ばれた気泡は自転のせん断によって破泡、あるいは真空面と接触して泡を除去。粘度の高い材料もこの原理で脱泡できます。真空での脱泡は、大気中より強い脱泡力となり、短時間での脱泡が可能です。
棒やプロペラを用いた撹拌機と真空装置の組み合わせによる脱泡も可能です。
撹拌の目的の1つが濃度の均一化です。全体の濃度を等しくするために行います。組み合わせは液体Aと液体B、液体Aと個体B、個体Aと個体Bなどさまざまな組み合わせが可能です。撹拌することで、全体の濃度を均一化できます。専門的な言葉を使うと、混合操作や分散操作、物質移動操作や反応操作といわれるものです。
全体の温度を等しくしたい場合でも、撹拌を行います。液体、個体、溶液などが可能です。容器の中に液体Aが入っていたとします。温度が違っていても、撹拌をすれば全体の温度を均一にできるのです。個体Bや溶剤になにかが溶けた溶質でも同じで、全体の温度を均一にできます。専門用語では、混合作用、電熱操作(加熱・冷却)というように分類されます。
吐出作用により、物質を動かすことができます。1つの容器に液体Aと個体Bを入れたとします。撹拌すると吐出作用により個体Bを動かせるのです。たとえば、個体として存在する豆腐が、崩れてバラバラになるようなイメージです。吐出作用が起きることで濃度の均一化ができます。
また、1つの容器に高温と低温の液体が入ったときも、撹拌をすれば吐出作用が発生します。温度の場合は、高温と低温の液体が動くことになるのです。結果、混ざり合って温度の均一化が起きます。
微細化作用とは、物質が細かくなることです。1つの容器に液体Aと個体Bを入れて撹拌をすると、吐出作用が起きて個体Bを細かくできます。注意点は吐出作用と微細化作用について、撹拌作用の明確な分け方ができないことです。
吐出作用だけを発揮させた撹拌はできません。撹拌をすれば、微細化作用が含まれるのです。吐出作用と微細化作用を100対0で明確に分けられないともいえるでしょう。ありえるのは、吐出作用か、微細化作用、どちらかが中心になるような撹拌はありえるということです。
攪拌も混合も2つの物質を混ぜ合わせたり溶かし込んだりする動作を表しますが、呼び方によって違いはあるのかをチェックしておきましょう。
攪拌とは、2つの物質を均一に混ぜ合わせる動作を指します。もともとの意味は「かき混ぜて目的を達成すること」ですが、その目的は実にさまざま。マグカップなどのコンパクトなものから大きなタンク、丸いタンクや四角いタンクなど、大きさや形状の異なる器でも確実に攪拌できなければ目標達成とは言えません。
また、液体同士の攪拌はもちろん、個体と液体といった性質の異なる物質同士も混ぜ合わせられるなど、撹拌作用も複雑化・多様化しています。
混合とは、性質の異なる物体を混ぜ合わせることです。物質同士を均一にする攪拌に対し、混合は物質同士を簡単に混ぜ合わせる際にも使用されます。
撹拌機と脱泡機、それぞれの機械の特徴をみてきました。撹拌脱法機を導入するにあたって、それぞれの特徴を押さえておくことは、失敗しない機械選びのために重要です。生産工程や研究開発の内容、材料の性質などに適した機械を選びましょう。
独自の4カップ仕様により、最大80Lの大量処理が可能。
1カップ300mlから7000mlまでの間で、容量区分のラインナップが最多。
研究用コンパクト機のなかでも、100mlの最小モデルあり。
2021年11月2日時点でGoogle検索で「撹拌脱泡機」と検索し表示されたメーカー公式サイト19社の中から、「カスタマイズ可能」「レンタル可能」「デモ利用可能」の記載があった3社を表示しています。それぞれのメーカーが生産している機械のラインナップの特徴を基に、利用シーンをお勧めしています。
※多量・大容量の処理向き…一度に合計40L以上の処理を行える機械を生産しているメーカーを選出。小~中容量の処理向き…300mlから1Lの容量で処理可能な機械を多種生産しているメーカーを選出。小容量での開発処理向き…100mlの容量で処理できる機械を多種生産しているメーカーを選出。